信州に居住し10年目の山小舎おじさん。
これまでに、野沢温泉、渋温泉、奥蓼科温泉、松代温泉など個性派温泉を訪れました。
ふと思ったのは、『高山村の山田温泉の古民家風の立折り湯には、まだ入ってないなア」でした。
或る木曜日、朝8時前に山小舎を軽トラで出発して高山村を目指しました。
高山村 山田温泉
夏を迎えた信州の景色を菅平まで飛ばします。
菅平はスポーツ合宿の真っ盛りでした。
そこから須坂を目指して長い坂を下ります。
そこから高山村への標識に従って、田んぼや果樹園の中を北上します。
高山村の集落を過ぎ、秋川渓谷に沿って登ってゆくと山田温泉です。
旅館と土産物店が静かに並ぶ温泉街の県道112号線沿いに大湯があります。
野沢温泉の大湯、渋温泉の大湯、別所温泉の石湯などと同じく、大湯の建物は歴史を感じさせる外湯です。

大湯の前に、秋川渓谷の最深部に湧く七味温泉の無人の立寄り湯を見に行きます。
紅葉館という湯質抜群の旅館が管理する「野天風呂」という湯小屋です。
『休業中』の看板がぶら下がていました。
帰ろうとすると軽トラがやってきて関係者と思しき男性が降り立ちました。
聞いてみると「入れますよ」との返事でした。
この日の目的は大湯なので、深謝して立ち退きました。
ここのお湯もいいお湯です。

元来た道を山田温泉まで戻ります。
夏の日差しの中、観光客がチラホラ見えます。
大湯の建物に入ると、番台には30代とおぼしき女性が座っています。
400円を支払い入湯。
ヒノキ造りの浴室と浴槽は期待通りです。
無人の湯殿でゆったり過ごします。
湯温は熱くもなく、ぬるくもなく。
洗い場のカランは、樋と堰が木製という前代未聞のものでびっくりしました。
椅子と桶を除き、オール木製の浴室でした。

上がってからロッカーに納めた貴重品を出そうとして鍵を入れますが、鍵が回りません。
先客が取り忘れた硬貨が、開錠を邪魔していたのでした。
拾得物の100円を番台に届けがてら高山村の情報を聞きます。
この日の目的の一つは、高山村の農協で売っている紅玉シードルだったのですが、この日は農協の選果場が休みだったのです。
「村内の藤田屋酒店というところは品ぞろえがいいですよ。村内のカフェには地元の野菜を置いているところもあります。」とのお姉さんの返答。
また山田温泉の旅館についての問いかけにはの問いかけには「宿泊料が高いが、リピーターの多い山田館と、将棋の藤井聡太が対局した藤井荘という旅館が人気ですね」とのことでした。
また高山村はインバウンド客が少なく(混雑していない)とのことでした。
ほかにも子安温泉が建物の改築で休業中など、聞けば聞くほど様々な情報があふれ出てくる方でした。

高山村 子安神社、藤田屋酒店
大湯の番台のお姉さんに教えられた酒屋に向かう途中に子安神社がありました。
帰りに寄ってみようと思っていた雰囲気のある神社でした。

軽トラを下りて人気のない境内をうかがうと、全国にある子安神社の中でも最も風格のある神社との由緒書があります。
現在もなお、日々の手入れと信仰がうかがえる神社です。
鳥居を潜って本殿にお参りしますが、賽銭箱がありません。
鍵のかかった本殿内部にあるようです。


お参りの後、境内で周囲を見渡すと、狛犬の背後に夏の青空と秋川渓谷の山々が広がっていました。
やはり民間信仰の場所はいい立地に建つのだなあ、と風景に見入りました。

番台のお姉さんに教えられた酒店へ寄ります。
この店は県道を走っていても目立ちます。
店内は、地元のワインなどを前面にフィーチャーしたレイアウト。
聞けばいくらでも情報提供してくれる若店主がいます。
選果場で売っている紅玉のシードルのことを聞くと、「農協で作って売っているシードルかな。ほかでは売っていません」といって別の地元産のシードルを出してきます。
紅玉、フジなどの混合とのこと。
「山田温泉から来られた方ですよね?」というので聞くと、酒屋さんに山田温泉から連絡があったとのこと、あのお姉さんが電話したのでしょうか、『紅玉のシードルを探している高齢のおじいさんが行くかもしれない』と。
大湯の番台のお姉さんの地元愛の強さとともに、地域のネットワークの深さというか、強さを感じました。
結局農協さんのシードルは手に入らなかったのですが、此方にあったシードルのほか、地元産で限定流通の白ワインの2024年産と2025年産をいただきました。

須坂市役所食堂
テレビのローカル放送は貴重な情報源です。
日々のローカルニュースのほか県内の食や名産品に関する情報番組を見ていると『これは!』と思う情報にぶち当たります。
それらをノートにメモしておき、行きたい場所や食べたいものをチェックしておきます。
今年になってからのノートに、『須坂市役所食堂』のメモがありました。
テレビ番組の内容は忘れてしまいましたが、今時珍しい市役所食堂の繁盛と工夫がフィーチャーされた番組だったと記憶しています。
今回の旅のランチは須坂市役所食堂にしました。
炎天下の須坂市役所駐車場に軽トラを乗り入れます。
案内を乞い地下の食堂へ。
気になったのは道順を答えてくれた昼休み中の女性職員が、『予約がないと食べられませんよ。メニューはお弁当しかありませんよ。』といったことでした。
どうも雰囲気が違います。

地下一階に下りて食堂を探します。
市役所の地下というと、コンクリートがむき出しの無愛想な作りなのは須坂市役所も同様です。
キョロキョロしていると、立っていた女性が『食堂ですか。予約は?』と聞いてくれます。
予約なしだというと、テーブルで食べている男性グループに『これは予約なしの分?』と確認し、残っている弁当を指さしました。
自販機で食券を買い、所定のケースに入れるとのこと。

どうやら食堂は無人化し、メニューは550円の弁当一種類だけ。
それも事前予約した分が主で、一般のフリーな客向けの個数を若干あるだけ。
お茶は自販機のペットボトルを購入、というもの。

窓のない地下の食堂には若い職員のグループが数組と一般の高校生などが三々五々。
かつて食べたことがあった塩尻市役所の食堂を思い出しました。
あそこもメニューは弁当一種類だけ、ただしおじさんが一人立っていて、ご飯を詰めてくれましたっけ。

6月15日から現行の体制になったとの張り紙がありました。
来るのが遅かったようです。
もう日本では、役所の食堂に『安かろう、うまくはなくても、だれでも便利に利用できる』スタイルはなくなったようです。
地元調布の市役所食堂もだいぶ前に撤退したのです。
もう須坂市役所に来ることもないでしょう。

須坂鈴木養蜂店
これも高山村つながりなのですが、かつて家族で七味温泉の紅葉館に一泊したときに、朝食で出てきたはちみつ(ヨーグルトにかけられていた)の味に感激したことがあります。
入手先は須坂市内の鈴木養蜂店とのこと。
それ以来鈴木養蜂店のはちみつのファンです。

もう新密が出回った頃か?と須坂市内の同店に寄りました。
店は開いていました、はちみつの新物も並んでいます。
ですがいくら声をかけても反応がありません、いつもいる女性の店番もいません。
仕方なく不在時の電話番号に電話すると主人が『あと5分で戻る』と返事がありました。

如何に人気の少ない須坂の商店街とはいえ、開けっ放しで留守にするとは不用心です。
不良外国人に知れたら一網打尽にされかねません。
この地方では果物の被害はすでに毎年の例でしょうし。
百花と蓮華の新物を買い求めつつ、採蜜が本職の御主人とトークです。
『日本ミツバチはどんな花からも蜜を集めるので味が混ざって美味しくない』
『熊は昔から巣箱を食べにくる、ラジオが一番防ぐ効果がある。毎年の被害は想定内』
『一時期ハチが少なくなって、農家の作物の授粉用に貸し出しができなかったこともあった』
『ズッキーニの授粉は朝早い。ハチがいないと自然受粉は困難』などなど楽しい話が聞けました。

はちみつ2瓶と湯の花を購入。
いつものようにかりんとうを一袋おまけに入れてくれました。
