今回の流れ旅は県外の旅です。
天然の要害、山々に囲まれた長野県は、他県との県境には峻険、深々とした山々が存在しています。
然しながら、山小舎から直線距離で測ると、山梨県へはもちろん、群馬県へも案外近いのです。
姫木で親しくしている友人は、自宅がある埼玉大宮地区への行き来に、下仁田経由のルートを使っているようでした(その方はなるべく高速道路を使わない派です)。
山小舎から佐久方面に下り、野沢地区を抜けて富岡街道と呼ばれる道を上ってゆきます。
思ったより緩やかな登りです、交通量もあまりありません。
前方に妙義山?の凸凹した山容が見え隠れします。
やがて群馬県に入ったのか、沿道に”こんにゃく”の文字が目立ってきます。
山奥の人里といった雰囲気がします。

やがて下仁田の町に到着しました。
まずは上信電鉄下仁田駅へ行きます。


高崎から下仁田までの私鉄ローカル線です。
忘れられたような昭和の鉄道です。
JRならとっくに廃線にしているかもしれません。
戦前まで続いた生糸の興隆を、高崎から東京方面に繋げる物流手段だったようです。



駅舎は有人で、整備されています。
停車していた車両も現役感があります。
駅前に出ると、昭和感丸出しながら現役の電気店、旅館などがそこそこ軒を連ねています。
味があります。思ったより寂れてはいません。
ここに来なければ味わえない、群馬県ローカルの歴史と匂いが染みついた景色です。


駅の近くのAコープに寄ってみます。
地元の物産を物色し、昼食用にから揚げ弁当ときんぴらサラダを購入します。
Aコープは町内唯一のスーパーに当たるのでしょうか、昼間から賑わっていました。
旅人にとってのマスト、道の駅を探します。
国道を富岡方面へ進むと道の駅下仁田があります。
県外の観光客やトラックドライバーが集まる場所です。

観光案内所でマップをもらい、立ち寄り温泉の情報を聞きます。
そのあとは構内の直売所へ。
こんにゃくで町おこしをしている下仁田らしく、いろいろな派生商品があります。
野草茶コーナーまでありました。
並んでいる商品には勢いが感じられます。
この地区で意欲的に活動している人々がいることも。

食堂コーナーでソフトクリームを食べていると、三々五々集まってきた家族連れやドライバーたちで満席になってきました。
メニューの充実感を見ても、今時の道の駅が地域の外食産業の中核を担っている様子がわかります。
私もこの道の駅で昼食を摂ることにして、外のテーブルに弁当を広げました。

町の中心部に戻って、歴史館という博物館に寄ってみます。
歴史館の中心的な展示は生糸についてです。
カイコを飼って、繭を富岡の製糸工場へ出荷するのが明治以降の下仁田の一大産業だったのです。
富岡の製糸場と合わせて、下仁田の風穴が世界遺産になっています。
風穴にはカイコの卵を低温保管し、適宜出荷する保管場所があったのです。

下仁田から信州佐久に至る街道も、中山道の脇道としてかつては関所などもあり、信州との交易なども盛んだったとのことです。
今の下仁田の町の大きさ、鉄道の存在などを見ても、街道がもたらした歴史の重さを感じます。
下仁田の旅の仕上げは立寄り温泉です。
観光案内所で推薦の、清流荘を探します。
道幅狭い山道に清流荘はありました。
受付で声をかけますが返事はありません。
無為な時間が流れています。

無人の露天風呂へ入ります。
取材に来たことがあったのでしょうか、テレビプロデユーサーの推薦の言葉が飾ってあります。
その言葉に従い、低温の源泉につかりますが、冷たすぎて効いたのかどうかわかりませんでした。
鶯の声が間近に聞こえる野趣豊かな露天風呂でした。



カンカン照りの厚さが残る中、富岡街道を取って返して下仁田の旅を終えました。