信州ワンデーパスの旅

信州ワンデーパスというJR東日本の企画切符がある。
秋の1日を使って旅に出てみた。

茅野駅を出発して、小淵沢から小海線、小諸から長野まではしなの鉄道線、長野から松本まで篠ノ井線、松本から茅野まで中央本線のルートで一回りすることにした。

 7:23~7:45 茅野→小淵沢(中央本線)

7時半前に軽トラを茅野駅前の駐車場に入れて駅へ。
窓口でワンデーパスを買う。2,680円。

通勤通学客でにぎわう茅野駅構内。
こんなに活気のある茅野駅は初めて見た。
ホームに立つたくさんの高校生たちを見て、「やはり茅野は市だけある」と思った。

朝の茅野駅ホーム風景

高尾行き普通列車に乗る。
ボタンを押してドアを開け乗車した人々は、乗った後、ボタンを押してドアを閉める。
車内に寒気が入るのを防ぐのだ。
乗客数はパラパラだが、各シートに数人は座っている。

茅野駅ホームで高尾行きの発車を待つ

 7:48~9:58 小淵沢→小諸(小海線)

小淵沢駅からは八ヶ岳が間近に見える。
小海線のホームへ行くと1両だけの車両が待っていた。
通勤時間帯のあわただしい雰囲気からは隔絶されたローカルなムードが漂っていた。

小淵沢駅から望む朝の八ヶ岳

車両には先客が3人。
観光客だろうか、路線図を眺めている人がいる。
音もなく車両は出発した。

小海線車両の車内風景

しばらくは両側に雑木林が続く。
別荘地帯を登ってゆく。
ときどき枝が車両をかすめてゆく。

この感じ。
両側に山の木々が迫る山岳路線。
仙台と山形を結ぶ仙山線が奥羽山脈を分け入ってゆく姿を思い出した。
山国日本ではこういった路線は各地にあるのだろう。

八ヶ岳山麓の車窓

登り終わった小海線は、野辺山から高原の畑地帯に入りスピードを上げる。

野辺山高原の畑作地帯

やがて千曲川に沿って、谷地形を走ってゆく小海線だが、これまで並走してきた国道141号線としばし別れるコースを取る。
川上村という、秩父へ抜ける峠につながる旧道沿いの、今は忘れられたような場所。
ベトナム人らしき若者が三々五々乗車し、ほぼ満席になった。
この後、新幹線に接続する佐久平まで乗客は増え続けていった。

紅葉をむかえた車窓風景

小海で国道141号線に再合流した小海線。

小海からは千曲川上流と並行して走る

終点が近づくにつれ、山村の風景から郊外の住宅地の風景へと車窓が変遷してゆく。
臼田、中込、岩村田と過ぎるうちに乗客が増え続ける。
佐久平でごっそり下車していった人々は、新幹線の乗り継ぎだったり、モールで買い物をするのだろうか。

佐久平盆地のはざかけ風景
佐久平駅は新幹線停車駅

平日午前中の小海線下りは、沿線の人々の生活路線として機能していた。

 10:07~11:10 小諸→長野(しなの鉄道線)

小諸駅に到着。
駅の外に出て缶コーヒーを買ってのどを潤す。

外に出た目的はもう一つ。
小諸駅からJR線には乗り継げないので、しなの鉄道線の切符を買うため。

ワンデーパスでこの先へ行くには、佐久平から新幹線に乗る方法があるが、特急料金が必要。
各駅停車の旅なら、長野までの間、第三セクター線に乗り換える方法がいいかなと思ったのだ。
長野まで1,180円の別料金。

小諸駅にて
ワンデーパスとは別に切符を購入
しなの鉄道長野行きに乗車

しなの鉄道は、旧信越本線の軽井沢、篠ノ井間が、北陸新幹線の開業に伴い、第三セクターに移管されたもの。
さぞローカルな寂れた路線か?と思ったらそうではなかった。

車両はJRの払い下げで、本日唯一のボックス席を有する車両だが、走っているのは国道18号線に沿った、軽井沢、長野間。
東信地方と呼ばれる県東部地方を走る主要路線なのだ。

平日昼間といえどそこそこの乗車率。
買い物にゆくのか上田でどっと下りて行った。
さぞかし朝夕の通勤通学客も多いであろう。

千曲川沿いの田園風景

東御、上田、坂城、千曲といったなじみの地名を過ぎてゆく。
篠ノ井でJR篠ノ井線に合流して長野駅へと着く。

善光寺平ではリンゴの季節
しなの鉄道の長野駅に到着

 14:07~15:20 長野→松本(篠ノ井線)

長野市で約3時間の滞在。
街歩きの様子は別稿で報告します。
ここからは再びワンデーパスを使った旅です。

松本行きは2両編成。
乗客はほぼ満席。
終点松本まで乗ってゆく人が多かったのは意外でした。

長野駅で松本へ向かって帰途に着く

長野(善光寺平)と松本(松本盆地)を結ぶのが篠ノ井線。
中央本線方面(松本)と北陸新幹線(長野)という県内東西の主要路線を連絡するという役割を担っています。
そのため、両都市の間に横たわる急峻な山地に登ったり、トンネルでくぐっての路線です。
途中の姥捨駅への上りは、今でもスイッチバック方式で列車が運行されています。

姥捨から長野方面を展望
姥捨駅へはスイッチバックで入る

山岳部をおりてからは、松本川の主要河川・犀川に沿って平坦部を進みます。
篠ノ井線のハイライトは、姥捨から平地に至る山間部と山里の風景でしょうか。

篠ノ井線の山里の風景

 15:55~16:45 松本→茅野(中央本線直行)

松本駅で小淵沢行き普通列車のホームへと向かう。
発車まで30分以上あるが、長野の街歩きで疲れていたこともあり、乗車して待つことにした。
これが正解だった。
下校時間も近く、また人の移動が多い路線なので、どんどん乗客が増える。
乗車率150パーセントほどもあろうかという状態で発車。
茅野までその状態が続いた。

国道19号線と並行して走る路線。
正式には塩尻までは篠ノ井線で、塩尻から先が中央本線になるとのこと。

車窓には郊外型店舗と住宅が続く風景。
信州というより全国共通の郊外風景に近い。
しかも満員の車内には松本の大学やからの帰りと思しき若者が多数で、途中の塩尻、岡谷、下諏訪では高校生もどっと乗ってくる。

ローカルの寂しさはゼロ。
やはり社会には人がたくさんいたほうがいい。
その地方のカラーが感じられるから。

夕方の茅野駅。
どっと下車する高校生たちの流れに紛れながら初めて信州の本当の姿の一端に触れたような気がするのでした。

茅野駅で下車。やはり駅には大勢の人が似合う

駅前の駐車料金は、約10時間で1,500円でした。

投稿者: 定年おじさん

1956年北海道生まれ。2017年に会社を退職。縁あって、長野の山小屋で単身暮らしを開始。畑作り、薪割り、保存食づくり、山小屋のメンテナンスが日課。田舎暮らしの中で、60歳代の生きがい、生計、家族関係などの問題について考える。60歳代になって人生に新しい地平は広がるのか?ご同輩世代、若い世代の参加(ご意見、ご考察のコメント)を待つ。

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