続々・諏訪の神様が気になるの 御頭祭で「鹿の頭」を覗き見る

毎年4月15日に、諏訪大社本宮と前宮を結んで、御頭祭が行われる。
本宮を出発したみこしの列が、前宮まで行列し、前宮で鹿の頭を供えて祈祷するという「奇祭」だ。

事前に確認すると、行列が本宮を出発するのは13時ころとのこと。
神長守矢資料館で仰天した鹿の頭のお供えの現実版が見られるのだ。
果たしてそこには土着の縄文系神様の魂が感じられるのか。

当日の諏訪大社本宮の鳥居

「諏訪の神様」初心者の山小舎おじさんは、畑仕事を休んで駆けつけました。

12時半ころの本宮駐車場はガラガラでした。
境内へあがってゆくと、半纏を羽織った人の姿が見えました。
下から拝殿のほうを覗くと、ネットで見た、黄色い装束が見えたので慌てて上がってゆきました。

境内には法被を着た関係者の姿が

三々五々、黄色や白の装束を着た参加者が集まっています。
女性もいます。
参加者の一人に話しかけてみました。

拝殿の前にはみこし行列を担う方々が。女性の姿も見える

「地区の人が抽選で役割を割り振られる」とのこと。
「女人禁制ではない」とのこと。
「言われたとおりのことをするだけ」とのこと。
「おみこしで前宮まで運ぶのが何かは知らない。詳しいことは巫女さんにでも聞いてくれ」とのこと。
地区の行事に半ば義務感だけで参加しているかのような気楽さあふれる返答ぶりでした。

やがて神主さんがやってきて、彼らにいろいろと指示を出します。
指示に従って、一般人立ち入り禁止の拝殿前に入ってゆきます。
やがて、色とりどりの装束を着た神主の集団、背広を着、法被を羽織った地区の有力者など参拝者の集団、みこしを担ぐ集団の3つに分かれて拝殿前に整列します。

神主の合図で拝殿に向かって並び始める関係者たち
儀式を見守る見学者たち

やがて神主が祝詞を上げ、拝殿から何物かを下ろし、みこしに乗せます。
おろしている間は参加者は頭を下げ続けます。

神主集団はマスクをしていませんが、何物かを下ろすときだけは息がかからないようなマスクをし、手袋をつけていました。

境内には雅楽が(テープで)流れ、礼拝などの合図はマイクから流れます。
みこしに何物かが乗った瞬間には花火まで打ち上げられました。
このころになると、見学者が増えてきました。

神主が拝殿に上り祝詞を唱える
前宮へ「持ってゆくもの」がみこしに乗せられる
担ぎ手がみこしを担いでいよいよ行列が始まる

境内から参加者が流れ出て、前宮へ向かう列を作ります。
見学者の多くもついてゆくように流れてゆきます。
おじさんは軽トラに戻り、座席で弁当を食べてから、前宮へ向かいました。

関係者がみこし行列を形作る

本宮から前宮への道路は、おみこし行列のため交通規制されており、う回路に不案内なおじさんの軽トラはあちこちさ迷い歩きました。
やっとのことで前宮駐車場にたどり着くと、行列はすでに到着していました。

鹿の頭を供えて祝詞を上げる建物の脇には見学者がぎっしり。
カメラの砲列ができています。
ここが祭りのクライマックスだと多くの見学者は知っていたのでしょう。
出遅れた山小舎おじさんは、神主の姿を眺め、体をねじってようやく鹿の頭を実視しました。

前宮では神主が拝礼する
お供えの鹿の頭が並ぶ
儀式を見守るカメラの砲列

建物の反対側には有力者らが整列して参列しています。
方や、黄色い装束の担ぎ手たちは、境内の片隅で三々五々休んでいます。

担ぎ手は参列できないということなのでしょうか。
ということはもともとの身分と関係することだったりするのでしょうか。

確かに見学者が気軽に声をかけられるのは、担ぎ手の方々までで、参列者や神主などは全く「別格の」「あちら側の」人といった感じなのです。

有力者たちは恭しく参拝する
方やみこしの担ぎ手たちはリラックス

前宮での儀式が続く中、おじさんは境内を後にしました。
いつも参拝者で賑わう本宮はともかく、いつもは静かな前宮が輝いて見えました。

神社には地元の人が似合います。
久々に地元の人でにぎわう境内には、にぎやかさと明るさがあふれていました。
地元の神様が喜んでいるのでしょう。
これが本来の前宮の姿なのだろうなと思いました。.

別の拝殿には、野菜、果実、魚のほか名産の寒天が供えられていた
みこし行列がかつできたなぎなた。重かった。
前宮からは雪を頂いた八ヶ岳が望まれた

投稿者: 定年おじさん

1956年北海道生まれ。2017年に会社を退職。縁あって、長野の山小屋で単身暮らしを開始。畑作り、薪割り、保存食づくり、山小屋のメンテナンスが日課。田舎暮らしの中で、60歳代の生きがい、生計、家族関係などの問題について考える。60歳代になって人生に新しい地平は広がるのか?ご同輩世代、若い世代の参加(ご意見、ご考察のコメント)を待つ。

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