信州ソウルフード放浪記VOL.33 上田檸檬で酸辣湯麺

上田市の海野町商店街。
町の中心部にあるアーケード街です。

歴史ある個人商店が並び、昭和の時代には栄えたであろう商店街ですが、地方都市のご多分にもれず、山小舎おじさんが知った時には歩く人とて少なく、一部の店はシャッターが下り、何区画かまとめて高層マンションの敷地になっているような商店街です。

上田のヤングやファミリーは市内に2か所あるモールへ行っているのでしょう。バイパスのロードサイドには全国チェーンの店も並んでいますし。

ある平日の海野町商店街

その海野町商店街に檸檬という中華食堂があります。
町中華というか、ラーメン屋よりは少しグレードの高い、地元に愛されている店です。
上田映劇で映画を見た帰りに久しぶりによってみました。

店内は先客が3,4組いました。
山小舎おじさんは今月のいちおし、の酸辣湯麺を頼みました。

具材が盛大に飾られた麺が出てきました。
辛味は押さえ気味で、酸っぱさが前面に出ている味付けです。
量的には十分。
食べる楽しみに彩られた盛り付けです。

ホール係のおかみさんに断っての撮影

東京のチェーン店のような化学調味料を容赦なく使った味ではありません。
味のヒステリーのなさが物足りなさを感じさせるかもしれません。

その体によさそうな優しい味付けが地元らしさを感じさせました。

信州ソウルフード放浪記VOL.32 真田の里の手打ち蕎麦

上田市真田地区には、ゆきむら夢工房という施設があります。
上田から菅平方面に抜ける道沿いにあり、観光案内、土産物売店などが入った建物と、農産物直売所の建物で構成されたエリアです。
「ゆきむら」とは地区の永遠のヒーロー、ご存じ真田幸村からのネーミングです。

ある日、直売所へ寄るために訪れてみると、ゆきむら夢工房の入り口に、そば処真田の里営業中の看板がありました。

昼前の時間でしたが、試してみることにしました。
「蕎麦は別腹」です。

館内へ入ります。
かつて地域の名産やTシャツ購入のために売店までは訪れたことがあります。
また、真田地区の観光案内を乞うと親切に教えてくれるスタッフが常駐しているのは知っています。

そば処と書かれた暖簾をくぐり、スリッパに履き替えて案内されたのは、普段は蕎麦打ち体験道場などで使われる部屋です。
先客が一組いました。
お茶はセルフサービスです。

もり蕎麦が出てきました。
噛み応えと食べ応えのある味わいです。
ツユが盛きりなので(リクエストするとお代わりできるかもしれませんが)、蕎麦湯を十分に味わえなかったのが残念でした。

もり蕎麦700円

信州は各地に蕎麦があります。
地域ごとに食味にあまり差がないような気もします。
おいしさに差が出るのは、店の雰囲気だったり、作り手の「手」のかけ方の差だったりするような気がします。

「もり」で素の蕎麦を味わうと、土地の恵みをいただくような気がします。

キューリの生姜炒め

手許に採り遅れた極太キューリが2本ありました。
除草の時、草刈り機で手許がくるってつけられた切り傷付きです。

夏野菜の収穫時期、キューリとズッキーニは採り遅れると大変なことになります。
極太のキューリがぶら下がり、魚雷のようなズッキーニが横たわっているのです。

収穫後はズッキーニについては夏の大根代わりに、煮物や、炒め物、和食、洋食に重宝しますが、がっちり種を仕込んだキューリは・・・、使い方使がわかりませんでした。

ある日テレビをつけていると料理コーナーに栗原はるみさんが出ていました。
少し注意して聞き耳を立てていると、キューリの炒め物の紹介でした。
キューリを二つに割って種を取り、スライスしてショウガの千切りとともに炒めるという料理でした。

早速、手元の極太キューリで試してみました。
ごま油を敷き、スライスしたキューリを手早く炒め、塩で味付け、しょうがを加えました。

収穫した極太キューリを縦に割る
スプーンで種をこそげ取る
スライスする。ショウガの千切りも用意
強火で炒める
炒め終わった頃、しょうがを加える

フレッシュというか、ショウガと塩のみの味というか。
夏の野菜の味でもあり、素材のみの味です。

山小舎おじさんの試作では、スライスが少し厚かったのか?塩が少なかったのか?
ごはんのおかずとしても、酒のつまみとしても若干の物足りなさがありました。

出来上がり

番組では栗原さんがあえて否定はしていましたが、コショウやニンニクを使っても(別の味付けにはなりますが)よかったかもしれません。

いずれにせよ極太キューリの使い方の世界が広がりました。

信州ソウルフード放浪記VOL.31 立岩和紙の里の日替り定食

山小舎から上田方面へ大門街道(国道152号線)を下り、軽井沢方面への分岐点を直進すると、上田市との境の少し前に、立岩和紙の里があります。

子供たちの和紙漉き体験の作品を天日干しする立岩和紙の里

本ブログでも、孫たちの和紙漉き体験の話や、秋の新蕎麦祭の話、を載せたことがある施設です。

食堂と土産物売り場への入り口

和紙漉き体験施設と、蕎麦を中心にした食堂、土産物販売所が併設されています。

入り口から食堂方面を見る

今回はここで蕎麦定食を食べました。

2時の昼休みの前に店内に入るのがここ信州での食堂利用の鉄則です。
全国チェーン店などは通しの営業ですが、地元の食堂は14時から17時くらいまで休みます。
最終入店が13時半などとなっている店もあります。
規律正しく昼食時間を取ることが多く、また人口もあまり多くはない信州の伝統なのでしょう。

お品書き。このほかに本日の定食がある

この日は14時前に入店。
念のため確認すると注文OKとのこと。

カウンターに座ります。
ホール係のおばさんがお茶と漬物を持ってきます。
落ち着くんだなあ、こういう応対。

着席するとお茶とお茶請けが供される

日替わり定食を注文します。
蕎麦と炊き込みご飯のセットです。
田舎風の愛想のない定食で、一見量的にも物足りないのですが、食後感は満足いった記憶があります。
また、ここの蕎麦は美味しいのです。

日替わり定食。冷たい蕎麦とおこわのセット

どんぶりに入った冷たい蕎麦と山菜おこわのセットがやってきました。
すすりこみの音を気にせずに盛大に昭和風の食べ方でやっつけます。

手打ち蕎麦は食べ応えがあります。
もち米で炊いたおこわも腹持ち十分です。
徳利に入ったツユがついてくるのもうれしいことです。
ツユで割ったそば湯がたっぷりいただけます。

都会風に愛想を付けるとしたら、油気のある小鉢をもう一品、ですが、ここは田舎。
これでいいのです。

恒例!アンズのコンポート

今年もアンズの時期がやってきました。
信州の夏の果実の第一弾は6月から出回るアンズです。

可憐な見かけと、さわやかな食味、絶妙な色合いが、信州の地に初夏の到来を告げます。

アンズを水洗いします

先日訪れた彩ガールズが地元のスーパーで見かけて購入しておりました。
朝食で食べて「おいしいわ、これ。高かったけど」とおっしゃっていました。

早速、ガールズの残していった3粒と、地元のスーパー・ナナーズで別途求めたワンパックのアンズをコンポートに加工しました。

今年は梅干を作らなかったので、アンズのコンポートづくりが夏の実りの食品加工第一弾です。

皮ごと二つに割り、種を取り出したアンズをシロップで煮て瓶詰にします。
煮すぎると実が煮崩れます。
生すぎると保存性に不安が。

今回は少々煮過ぎたかもしれません。

二つに割って種を取りだします
砂糖を溶かしておいたシロップで煮ます
消毒した瓶に詰め、煮沸します

アンズはまた、種が貴重です。
種を割った中味は杏仁といって、杏仁豆腐のもとになります。

種を丸ごと焼酎に漬けるとアンズ酒になります。
種の薬効もあるようなので、種をためておいてアンズの種のお酒を造ろうと思います。

種は別に取って乾かしておきます
アンズのコンポートが完成
残ったアンズのシロップに棒寒天を溶かして寒天ゼリーを作りました

朝の野草茶

山小舎では毎朝手作りの野草茶を飲んでいます。

今年飲んでいるのは、ヨモギ、スギナ、ヤーコンの葉、のブレンドです。

それぞれ自然に生えているものや、芋の収穫時に葉っぱも併せて収穫したものを洗って干しておきました。

ヨモギはご存じ野草の王様。
昔から餅などにも加工されてきた馴染みのあるもの。
春先には畑の周辺などに群生します。
独特の香りに薬効を感じさせる野草です。

自家製乾燥ヨモギ
現代農業が別冊を発刊するほどヨモギの効用は顕著
別冊現代農業ヨモギ特集号より

スギナはつくしんぼの親戚。
山小舎おじさんの畑には毎年掃いて捨てるほど顔を出します。
新鮮なヤツを箕に2杯ほど採ってきて洗って干します。
若干の甘みがあり、青臭さや苦みはない野草です。

自家製乾燥スギナ

ヤーコンの葉も体にいいというので、たくさん採れた年に葉も採ってきて加工しました。
葉を洗って茹でて干し、砕いて粉末状にしました。

血液サラサラ等の効果があるとのことですが、味が苦いので敬遠していました。
ヨモギ、スギナに混ぜると飲めるので、今年から活用しています。

自家製乾燥ヤーコン葉の粉末

毎朝お湯を沸かし、沸くまでの間にテイーパックにそれぞれの乾燥野草を一つまみ入れます。
カップに入れお湯を注ぐと、山小舎特製野草茶の出来上がりです。

朝ののどの渇きを潤す一杯です。
体も馴染んでいます。

体も壊さず何とかやっていけるのも野草茶のおかげなのかもしれません。

野草茶、健康の一杯

いちごジャム

旬のいちごでジャムを作りました。

高遠で蕎麦を食べた帰り、いつもの南箕輪村の直売所に寄りました。
アスパラ、山菜など旬の野菜類に交じっていちごがたくさん出ていました。
生食用の大ぶりのいちごに交じって、加工用の小粒のいちごが大きめのケースで売られていました。

ひとケース560円が半額。
ふたケースがワンセットになっていました。
これで560円は安いと思い、買いました。

南箕輪村の直売所・ファーマーズあじーなで購入しました

翌日ジャムに加工しました。
生を試食してみると香りが立ち、酸っぱさと甘さが鮮烈ないちごです。
暖かくなってきた今が旬なのでしょう。

いちごを洗ってへたを取ります。
砂糖をまぶしてしばらく置きます。
白砂糖にザラメを少し混ぜてみました。

いちごから水分が出るまでの間に、瓶を煮沸しておきます。

十分に水分が出たら火にかけます。
どんどんアクが出るので取り除きます。

結構な時間、煮ても形が崩れません。
ほどほどで火を止め、瓶に詰めてさらに煮沸。
蓋を締めます。

あともうひと瓶。合計4瓶のジャム完成です

1年以上持つジャムの完成です。
報告すると娘一家から早速の注文が入りました。

信州ソウルフード放浪記VOL.30 高遠蕎麦・華留運

念願の高遠蕎麦を食べてきました。

5月下旬の平日。
城下町高遠の街並み。

華留運というそば店があります。
街の観光案内所にもこの店のパンフレットが置いてあります。
休日などは客が並びます。

店内には3組ほどの先客。
いずれも観光客風の女性です。

本日の蕎麦として3種類ほどのメニューがかかっています。
山の写真が飾ってあり、店主が山好きなことがわかります。
店名の由来も山のケルンから来ているのでしょう。

注文します。
十割蕎麦もいいのですが食べずらいと困るので、二八蕎麦を頼みました。
ついでにわらびの煮びたしを一皿追加しました。

出てきました。
特にこだわりのない盛り付けです。
蕎麦の量は一見少ないのですが、手打ちなので食べ応えがありました。
歯ごたえがある蕎麦ですがボソボソするようなことはありませんでした。
わらびは十分な量で、山小舎おじさん的には1年分のわらびを摂取できました。

二八のざる
わらびの煮びたし300円

出された蕎麦湯をダシで割って飲み干して、満足。
また来ましょう。

商店街の無料駐車場まで歩きます。
郵便局の前のポストが高遠城址公園桜まつりをモチーフにしたのか、桜にカラーリングされていてほほえましかったです。

高遠郵便局前

造り酒屋の前には湧水が引かれています。
ペットボトルに汲ませていただきました。

酒屋の前には湧水が
巨釜が展示されている

初夏の陽気を思わせる高遠の街でした。

伊那に下りると中央アルプスが目前に見える

スギナ、ヨモギ採取

野草茶を朝飲んでいます。
現在飲んでいるのはヨモギ、ヤーコン。
去年(以前)に採取、乾燥しておいたものをテイーパックに入れ熱湯を注いで飲んでいます。
ヤーコンは葉っぱを乾かしたものです。

スギナの乾燥したものも、同様にして飲んでいたのですが、飲み切っていました。
畑にはスギナが盛大に生い茂ってきました、除草を兼ねてスギナを採取しました。
スギナ茶新物を作りましょう。
ついでにヨモギも採取します。

採取した新鮮なスギナ
同じくヨモギ

採取したものはその日のうちに泥付きの根をはさみで切り落します。
採取した野草は傷むのが早いのです。

そのあとに洗浄です。
枯れ草や他の雑草は除いておきます。

洗い終わった野草はざるにあげて水を切っておきます。

翌日から乾燥です。
日当たりがいい日にはほぼ1日で乾燥します。

スギナを洗い天日干し
同じくヨモギを天日干し

夜は室内に入れてストーブのそばに置きます。
乾燥したら保存です。

プラスチックなどのケースに入れます。
スギナはキッチンバサミでじょきじょき切りながら入れ物に入れると効率よく保管できます。
乾燥材を同封して出来上がりです。

ほぼ乾燥が終わったスギナとヨモギ

信州ソウルフード放浪記VOL,29 鯉の甘露煮自作

川魚は歴史的に信州地方の貴重なたんぱく源の一つ。
その昔は、鰻、アユ、ウグイなどの天然魚が、近年になってからも鯉、鮒などの養殖魚が食べられてきました。

昆虫食ではイナゴ、ザザ虫、ハチの子などが食べられてきました。
(コオロギを食べるという習慣は聞いたことがありません)。

地元のスーパーの鮮魚売り場には、鯉の切り身、ニジマスの一本ものなどが常時売られており、季節によっては小鮒の丸ごとなども並びます。
鯉料理、川魚の炭火焼きなどは郷土料理として出されます。

スーパーに行くたびに鯉のぶつ切りなどを見て地元らしさを感じていた山小舎おじさん。
値段がことのほか高いなあ、とも思っていました。
ある日、鯉のぶつ切りが30%引きになって売られているのを見て、思い切って買ってみました。

レシピで甘露煮の作り方を検索し、挑戦しました。

まず、切身に熱湯をかけ臭みを撮ります。
その間に煮汁をひと煮立ちさせておきます。

切り身を煮汁に放り込みます。
鍋を廻しながら、アルミで落し蓋をしてストーブにかけます。

煮汁にとろみが出て、切身に煮汁が染み込んでくるまで煮詰めます。

試食。
まず身はふわっとして上等です。
骨が硬いので要注意です。
皮も厚めでしっかりしています。

食べるところはそんなに多くはないのですが味は思ったより良く、川魚の煮魚としては上等なのではないでしょうか。