畑で地元の人と立ち話

畑の隣組さんと立ち話をしました。

畑で作業していると、通りがかった地域の人と挨拶し、立ち話をすることがあります。
が、とうに専業農家などいない地域ですし、そもそもめったに畑に人が出ていることがありませんので、そういったことも年に何回あるかどうか?です。

今回、午前中に畑に出向くと、畑隣組の人が軽トラで自分の畑を一回りして帰ってゆくところでした。
挨拶してすれ違おうとすると、その人が寄ってきて立ち話をしました。

話は、自分の畑に自生するわらびが盗られていたので立ち入り禁止の貼り紙を立てたことでした。
その畑は、山小舎おじさんが自分の大家さんの土地と勘違いして、ミツバチの巣箱を設置しようとして、その場で注意された場所でした。
その経緯から、こちらに対して含むところがなくて、純粋にわらび盗掘に対する警告として貼り紙を立てた旨を、わざわざ言ってくれたのでした。

隣組の畑に立てられた貼り紙

かえって恐縮して挨拶を返しました。
ついで、めったにないチャンスなので、こちらからいろいろと話題を振ってみました。
その結果、畑の周りのことがおりおりわかってきました。

ジャガイモの獣害については鹿ではなく、イノシシだとのことでした。
ご自分の畑もかつてイノシシの被害にあったことがあり、番犬を置くなどしたとのこと。

山小舎おじさんの防獣ネットを見て「ああいう風に、ネットのすそにトタン板を置いておくと、ここら辺のイノシシは自分で踏んだトタン板の音に驚いて逃げてゆくから」。
「イノシシは一度食害をおこすと、次回からも記憶して漁りに来る」。
「見えないようにトンネルで覆うと被害にあわない」との体験に基づいたお話も。

とりあえずは、防獣ネットの具合に安心しましたが・・・鹿でなかったのかい!
イノシシのほうが強敵じゃん!

ネットの外側のすそに置いたトタン板がイノシシの防止に役立つとのこと

また、自分の畑の一角を指さして「あれは鹿の通り道」とのこと。
やはり鹿もこの地区で活躍しているのは間違いないようです。

隣組の畑へ下りる鹿道

このあたりの畑の水はけの悪さについては、「畑の上流にあるスギ林の中に湧水が湧く。今は水流を国道側に流しているが、かつては湧水を水路に流して水田を作っていた」とのことです。
湧水が田畑を潤していた豊かな地区だったのです。

このスギ林の中に水が湧くとのこと。林に入ってみたが湧水ポイントはわからなかった

3年目とはいえ、隣組として畑を作っているよそ者の素人にも注意を向け、関心を持ってもらっているのだなあと思ったひと時でした。

種まき急ピッチ

種まきを急いでいます。

今年の作付けは、種類別で言うと、①種芋の植付、②苗の定植、③種の直播、④種をポット植えして芽出し、の4種類の方法で行う予定です。

①の方法で、ジャガイモ類、里芋、しょうが、菊芋、コンニャクを。

②の方法で、トマト、ナス、キューリ、ゴーヤ、ズッキーニ、ホウズキ、ハックルベリー、ルバーブ、ヤーコンなどを。

③の方法で、大豆、小豆などを。

④の方法で、インゲン、枝豆、トウモロコシ、かぼちゃ、落花生、ケールなどを作付けします。

①の作業は終わったので、苗の定植を前に、種まきの作業へ移ります。

まず、畑に大豆を直播しました。
豆類は芽が出たときに鹿の食害に遭いますので、防獣ネットに囲まれた圃場の隅に蒔きました。

元肥なし、えひめAIを撒いた畝に2粒づつ種を置き、一度足で種の上から踏んでから覆土します。
覆土の上から再度足で踏んで完了です。
足で踏むのは、土と種を密着させ、水分の補給なしで発芽を促すためです。

大豆を直播します
蒔いた後の畝は鳥害を防ぐために間に合わせの不織布などで発芽まで覆います

山小舎で種をポット蒔きしました。
今日はかぼちゃ、落花生を撒きます。

用意した培養土に種を置き、軽くえひめAI液を散布したのち覆土します。
覆土の上から体重をかけて圧迫し、散水します。

ポットから水が滴るほど散水したのち、新聞紙とビニールでポットごと包んでビニールボックスへ。
発芽まで待ちます。
温度と保水を第一条件に発芽を促すためです。
この後、給水は行いません。
日中はこのまま日に当てます。

発芽後は手製の温室に置いて定植の時期を待ちます。
この時期の給水は、ポットを水につける形で行います。
水分は上から(じょうろで)与えられるものではなく、自分の根で吸い取るものだということを苗に学んでもらうためです。

2,3週間「慣れ」させた用土に種を蒔きます
種を蒔いたポットは保温、保湿してケースに収納。夜間は室内に入れます
隙間だらけの「温室」です。古い襖を奥に貼り、木枠にビニールを張ったもので三面貼りに。正面の木枠は取り外しできます。
既に芽が出ているケールが温室で成長を待ちます

連休も終わり、夏野菜の苗の売り出しが真っ盛りです。
このあたりの畑でも続々と野菜の苗が植わっています。
山小舎では春の作付け真っ盛りへあと一歩です。


春先の畑作業

山小舎おじさんの畑にも春が到来しました。
畔にはよもぎが芽生え始め、ナズナやタンポポなども花を咲かせ始めています。

4月の畑作業は、まず4段の圃場のうち1面に防獣ネットを敷設しました。
高さ2メートルのネットを巡らし終わり、入り口を網戸を再利用して設置、ついで、山側にネットと1メートル離して金網を巡らせました。

金網の設置は鹿がジャンプするために助走するのを妨害するためです。
また、鹿が安全を確認するまではジャンプせず、むしろネットのすそから侵入したがるという特性に対抗して、ネットのすそを固定しています。
土の地面にネットのすそを固定するのは案外難しく、試行錯誤をしなが現在作業中です。
トタンをかぶせたり、垂木を支柱に縛り付けてネットをおさえたりして、柵の2辺まで完了したところです。
まずは物理的に鹿の侵入を阻止します。

柵が立った後は、なんとなく畑周辺から鹿の気配が消えたような気がしているところです。
去年までは、常時、畑の脇の水路周辺に鹿の足跡が入り乱れており、まるで彼らが自分のテリトリーを主張しているかのようでしたが、柵を見て鹿も「ここは人間のテリトリーなのかも?」と思ったのでしょうか。
まだ安心はできませんが、心理的にも鹿の捕食意欲をそいだのであれば結構なことです。
南側の山の持ち主が雑木を伐採したのも、隠れる場所がなくなったという意味で影響したのかもしれません。

連休前の仕事として、買っておいた種イモ類の植付を行いました。
防獣ネット柵内にジャガイモ類。
今年は男爵5キロのほか、アンデス、レッドムーン、インカの目覚め、アルバンを各1キロずつ植えました。
例年は株間に施していた牛糞、化成肥料はなし。

防獣ネット柵を施した畑の一段上は柵なしとし、トンネル栽培と鹿が食べない作物用の圃場としました。
トンネル4列にキャベツ、レタスの苗を定植したほか、露地で、長ネギ、菊芋、里芋、しょうが、コンニャクを植えました。
このほかにヤーコンを2列ほど植える予定です。
いずれも歴戦の対鹿用作物です。

ほぼ連日、畑に通っての作業は大変でもありましたが収穫もありました。
今年は管理機を入れず、鍬のみで畝立を行っていますが、人力でも起こしやすい土になっているのです。
理由としては、雑草の根が繁茂する前の季節であること、晴天が続き土壌が乾燥していること、3年目の畑で土が団粒化に向かっていること、穴掘り機で圃場何か所かに穴をあけて排水を促進したこと、が考えられます。
ガッテン農法で学んだ「ネジネジ」の埋設により土がほぐれたことも期待半分で付け加えたいと思います。

連休中は1週間ほど休み。
その後は、もう1面に防獣ネットを巡らせて、計2面の柵付き圃場を確保。
柵内部には、サツマイモ、トウモロコシのほか、枝豆、落花生、大豆、小豆、インゲンなどを作付け。

残った露地の1面には、今植わっている玉ねぎの隣に、あしたば、ルバーブ、えごま、ほうずきなど鹿が好まない作物を植えたいと思います。

もともと金網で囲まれている、別の圃場では夏野菜、かぼちゃ、ハーブ類などを植える予定です。

また、昨年芽出しで失敗した反省から、大豆、小豆、ハーブ類は十分暖かくなってから畑に直播とし、ポット蒔きして芽出しを行う作物は、トウモロコシ、かぼちゃ、枝豆、落花生などに限る予定です。

山小屋周辺は朝晩まだまだ寒く、発芽に向いていません。
育苗土の配合といい、温度管理といい、おじさんには自信がありません。
一応ビニール張りの温室のようなものを用意し、芽出しの養生場とする予定ですが。

道路に落としてからスマホの調子が悪くなり、今回は写真無しです。
ご容赦ください。
連休後は再び写真満載で書く予定ですので、今後ともよろしくお願いいたします。

キャベツを定植

畑にキャベツの苗を定植しました。

4列の畝を立て、トンネル架け用の、曲がり支柱と不織布を用意しました。

不織布を用意します

苗の本数はキャベツ100本、レタス30本ほど。
農協で1本20円。
あれつ?例年はもっと安くなかったっけ?

畑の準備は畝立てだけ。
元肥は入れません(昨年は石灰を入れて、尿素を追肥しました)。

その代わり、植付には十分注意します。
苗を根を半分ほどちぎり、植え付けた苗の根の周りには湿った土をよせるようにし、植付後は体重を乗せて押さえます。
植え付け前後に水やりはしません。
こういう風にこまめに手がかけられるのも、小規模個人営農の利点です。

苗を千鳥に植え付けてゆきます
植付後はトンネル用の曲がり支柱を立ててゆきます

植付後はトンネル架けです。
不織布を畝に渡して曲がり支柱の上に架けて固定してゆきます。
マルチ架けには慣れてきた山小舎おじさんですが、トンネル架けにはまた別の技術がいります。
おまけに風が吹く日でもありました。
小規模の畑とはいえ、最低限の土木作業は欠かせません。
こういった作業が苦手なおじさんも見様見真似で頑張ります。

畝の端に不織布を置き、余裕幅を持たせてピンで固定します。
このまま畝の反対側まで不織布を渡してゆき、反対側でもピンで仮止めします。

畝の両側に垂れたの不織布に鍬で土をかぶせて固定してゆきます。
トンネル内に風の侵入を防ぐためです。
風が入るとトンネルがめくれあがってしまいます。

このまま端から順に土止めしてゆくのですが、これだけではトンネルに張りが出ません。
ある程度土止めしたタイミングで、不織布の端(ピン止めしたところ)を引っ張り、トンネルに張りを持たせます。
張りがでたタイミングで不織布の端っこを縛り上げ、ピンで最終的に固定します。
反対側も同様にします。
全体に張りがあり、端っこから風が入らないようになって、トンネルの完成です。曲がり支柱の大きさと配列も完成度に大きく関係します。

右のトンネルは張りがやや甘くなりました
何とか4列が完成

植付とトンネル張り4列の作業でおじさんの背中は張りが出て、腰が痛くなりました。

付け加えると、トンネルなど不透明なものがあると、鹿はその中身に興味を示さないそうです。
去年のおじさんの畑もトンネル栽培のキャベツは獣害なしでした。

防獣ネットを張る

畑に防獣ネットを張りました。

諏訪の神様への供物の鹿。
山小舎おじさんの畑にやってくる鹿は、農作物に餌付けされた「野良鹿」。

人間としては、「ここは鹿の来るところではない。食べ物は野生のものらしく、自力で探せ」と示さなければなりません。
鹿としては「そんなこと言ってもここに我々が食べられる植物があるじゃないか」といって開き直り、安易な採食をやめようとはしないでしょう。

そこで、物理的に食べられないようにしようということです。
防獣については、人間世界では、「駆除か防御」しかない、と一応の結論が出ているところです。
防獣「第三の道」はおじさん、現在勉強中で、今年の畑には間に合いません!

準備

資材を整えます。
今までの「そこにある材料で簡単に」という考えはこの際捨てることにします。

必要な資材を、最低限必要な資金を投入してあつらえます。
とりあえず畑1枚にネットを張ることにして、長さ50メートル、高さ2メートルのネットを購入しました。
ネットを支える支柱を25本も用意します。

支柱は通常の園芸用のものですが、端っこにネットの紐を支える溝がついており、もう一方の端は尖っているものです。
また、四隅の支柱用に太いものを5本ほど用意しました。
全体の強度のためです。
これで〆て1万5千円ほどの出費です。

支柱を地中数十センチまで埋め込むには人力では困難です。
冬作の玉ねぎ用の囲いを作ったときにその事実を痛感したおじさんは、穴堀機の導入を考えました。

「現代農業」の特集記事を参考にし、茅野にある農機具販売店を訪ねて情報収集。
最終的にはネットの楽天市場で2万円ほどの穴掘機を購入しました。

国産品では十数万(エンジン式)から数万(充電式)する機械が2万円は安すぎるのですが、こちらにも予算があります。
ここまでで計4万円弱の予算執行。
これで来年以降もジャガイモなどが収穫できるのであれば結構なのです。

ネット通販で穴掘機(オーガ)を買いました

作業(支柱立て)

いよいよネットを張る作業です。

不慣れな作業を一人で行うには不安があります。
ネット動画で同様な作業の模様を閲覧しました。

キモは支柱をしっかり2メートル間隔で立てること、ネットをたわまないように張ること、ネットの下はある程度地面に垂らすこと、を学びました。

さていよいよ実践です。
穴掘り機で穴をあけてゆきます。
ほぼ順調に掘り進む場所、いったん耕盤層に当たるもののそれを突き抜けるとさらに掘り進む場所、硬い場所に当たってそれ以上掘り進めなくなる場所、といろいろありました。

ドリルごと体を持って行かれそうになったりもしました。
心配していた機械の調子ですが、エンストやエンジンからの白煙などがありましたが、無理せず休ませながら使うと何とか一日持ちました。

タコ糸のしるしに合わせて穴掘りします
オーガは穴掘りに活躍してくれました。人力でここまでの穴掘りはとても無理

あけた穴に支柱を放り込んでゆき、さらにハンマーで上からたたいて埋め込みました。
穴の深さ(土の堅さ)によって支柱の高さに違いが発生しました。
どうしても穴が掘り切れない場所は、少しずらして穴を掘りました。
ハンマーで叩き、穴を踏み固めると支柱はしっかり立ちました。
高さと角度を微調整しました。

四隅の柱や若干ぐらぐらする支柱には支えとして、短い支柱などを立てて結束バンドで本支柱と結び合わせました。風の強い日など、支柱が地面で折れてしまうのを防ぐためです。

脚立に乗り、ハンマーで支柱の頭をたたいてしっかり土中に固定します
支柱が立ち並びます。深さ、角度には若干の不ぞろいがあります

作業(ネット張り)

作業のハイライトはネット張りです。
まずネットを支柱の外側の地面に渡します。

50メートルのネットは重さこそないのですが、一馬力の人力で一気に片付く分量でもありません。
順を追って作業します。

まずは、丸まっているネットの中心に支柱を通して、端っこに立てておきます。
これをくるくる回しながら渡してゆこうというのです。
この際、ネットの先端にも、フリーの支柱一本を結束しておきます。
この支柱を引っ張りながら渡してゆきますが、何せ50メートルの距離です、一気に渡すことなど無理なので、少しずつほどきながらほどいててゆきます。
2人いればはかどるのになア、と思いながらの作業です。

50メートルのネットを立てて回しながらほどいてゆきます
ネットを渡し終わりました

渡し終わったネットを、最初の支柱から、張ってゆきます。
支柱の上部の溝に通し、ネットがたわまないようにします。

ネットの中程と下部は結束バンドで支柱に固定しますが、まずは上部と中程を、テンションをかけながら張ってゆきます。
風の強い日で、ネットが風邪を受けて膨らみます。
支柱がたわみます。
偉大な自然の力の一端が思い知らされます。

渡し終わったネットを張ってゆきます
一面を張り終わりました
入り口部分を除き張り終わりました

ひと渡り結束し終わり、地面には余ったネットが垂れています。
鹿はジャンプするのは最終手段で、できるだけネットや柵をくぐって侵入するそうです(ネット情報)。
最終的には外に垂らしたネットの端を津で埋めるなどして、鹿対策の万全を期したいと思います。

今日の作業は終了

風も冷たくなってきた4月の夕方近くの畑。
予定の作業を終えて山小舎への帰途に就くおじさんでした。

「現代農業」3月号に見る新しき農の世界

「現代農業」という月刊雑誌がある。
発行元は一般社団法人・農村漁村文化協会。
行政や農協をバックにしておらずに、農家に役立つ情報を発信している。

イデオロギー臭もなく、かといってエコロジー偏重でもない。
農薬、農業機械の正しい使い方の発信も、この雑誌の主題の一つになっている。

といっても、時代の流れに敏感で、また時代をリードする感性を持ち合わせているのがこの雑誌の鋭いところ。
これまでも、えひめAI液、もみ殻の利用、鉄茶の利用、など、山小舎おじさんも、この雑誌からは感化を受けている。
令和3年3月号の特集は「縦穴堀りが流行中」。

山小舎おじさんが借りている段々畑4枚は、水はけが悪い。
畑脇の水路の整備などは行っているが、雨が降ると表面に水がたまるし、全体にじくじくしてくる。

縦穴を掘ると田畑の水はけが格段に良くなるらしい。

「現代農業」3月号には、縦穴掘りについての農家の体験談、理論的解明、使用道具の解説の記事が載っている。
新潟大学の農業土木研究者によると、縦穴を掘ることにより、空気と水の流通と循環が起こるとのこと。
土中の空気は渦を巻いており、それが縦穴を通過することによって、大地全体の通気浸透性を高めるとのこと。

道具の調達など、関門は高いものの是非畑で試してみたいと思うや山小舎おじさんです。

縦穴を掘る機械を紹介するページ
新潟大学の研究者による、縦穴掘り効果の解説

「現代農業」3月号にはほかにも興味深い記事がありました。

まずは井戸掘りの記事。
国的には水道法の下で上水の供給を一本化したいところなのでしょうが、水道民営化など公共の福祉に逆行化しかねない立法が行われている現状があります。
また災害時などに自力で上水を確保できれば、それに越したことはありません。
まことにタイムリーな、自力井戸掘りの記事です。

更には、税法に物申した「どぶろく宣言」の記事といい、「現代農業」は庶民の立場に立った編集方針を貫いています。

自力で井戸を掘る記事
現代農業で長年続くどぶろくつくりの記事

農家が教える免疫力アップ術の記事。
農家が長年伝える様々な生活の知恵があります。
野草の活用もその一つ。
このような大マスコミが伝えない知恵の世界を伝えるのも「現代農業」の仕事の一つです。
山小舎おじさんも大いに興味があるものの、実行しきれないくらいの情報量がこの記事一つにあふれています。

山小舎おじさんにとって「現代農業」3月号の極めつけが、「まさねえの獣害対策よもやま話」という記事でした。
著者を講師とした獣害の勉強会があったそうです。

勉強会で著者曰く「イノシシが悪いと思っている間は被害は止まりません。(中略)被害っていうのは皆さんがここは安心してエサ(農作物)が食えると思わせたから。これを餌付けといいます。(中略)悪いのは餌付けをした自分‼って頭を切り替えること。」
のっけから頭にガーンときます。

女性らしい感性というか、物事の本質に直感的に到達する力というか。
今までの「常識」とは一線を画した「真実」が表に出始めたというか。
「常識」と「非常識」の境界がなくなってきたというか。

単に獣害に悩むだけだはなく、自然に対する心構えを諭されたような。
今後の展開が楽しみになってくる記事です。

他にも、足の付け根に紐を撒くことによって体の負担を軽減する方法など。
「ただで、誰でもできることが間違いのない方法」だと思う山小舎おじさん。
いろいろな知恵に助けられて山小屋生活を送りたいと思います。

「マル農の人」

「マル農の人」という本を読んで、「垂直仕立て栽培」という農法を知った。

きっかけは本屋に行ってこの本を手に取ったから。
金井真紀という著者の本が2冊新刊コーナーに並んでおり、となりの「パリのすてきなおじさん」という本のほうが売れていた。

この本のテーマは、道法正徳という1953年生まれのおじさんが伝道する、「垂直仕立て栽培」農法とそれにまつわる物語。

金井著者は、伝道師・道法の個性的キャラクターとその経歴にひかれて取材を始め、道法の農法に影響を受けた人々にまで取材の範囲を広げて本にしている。

瀬戸内海のミカン農家に生まれ、農協の技術指導員を経て、独自の農法の伝道師となった道法。
金井著者の本では、農協組織の一員として決して伝統農法には逆らえない宿命を背負う立場の道法が、独自に編み出した「垂直仕立て栽培」農法を世に問い、その個性を花開かせてゆく過程に力点が置かれている。

ミカン栽培で研究を重ね、従来の指導方法とは異なる「垂直仕立て栽培」で指導結果を上げ、評判になるが、農協の指導方針と合わなかったため不遇を強いられる時代の話は、金井著者の一つのテーマである組織論につながる。

「余計なことをしたら評価が下がる」
「何かを変えることは前任者の否定につながってしまう」
「皆の足並みを乱すことが最大の罪」
伝道師・道法による組織論を、金井著者は聞き逃さない。

山小舎おじさん的には、この本、金井著者の女性らしい柔らかで自由な人間味あふれる切り口に惹かれ入手した。
が、一番気になったのが、「垂直仕立て栽培」農法事態に関する興味で、その農法が、金もかからず、専門的な技術もいらないものである点だった。

「垂直仕立て栽培」のマニュアル本も出ていた

金と手間をかけ、農協が指導する通りに営農すれば、結果が得られるのが、職業としての農業だろう。
高額な耕運機などをそろえ、ビニールハウスなどに設備投資し、肥料・農薬を大量に購入し、たっぷり時間をかけて営農する、のがプロの農家の姿。

ただしそれらは、素人にはいちいち程遠い世界。

その点、「垂直仕立て栽培」では、植物の成長を決定する「植物ホルモン」を活性化させるので、肥料、農薬がいらなくなる!
また、ビニールマルチなどの軽資材は適宜使用するも、基本は不耕起(耕運機等は不要)で石ころもそのままにしておく(過度の手間不要)の農法!

これはまるで全国の素人農家、畑愛好家への福音ではないか。

マニュアル本の1ページ

「わら1本の革命」こと自然農法の福岡正信、「奇跡のリンゴ」こと無農薬リンゴの木村秋則。
エコロジー派が信奉する、これら偉大な先達の境地は彼らが天才だからこそのもの。
「木村さんのやり方は普及できない、一代限りの名人芸みたいなもの」(「マル農の人」117ページ)なのだ。

その点、伝道師・道法の「垂直仕立て栽培」農法や、三浦伸章の「ガッテン農法」は、誰にでも安価でできそうな方法を具体的に提示してくれている。
二つの農法に共通するのは、無理なく最大限の収穫に至る道を具体的に指示しており、主義としての自然農法、エコロジーとは違う実用的なものだという点。

といってもこれまでの常識からすると多分に「スピリチュアル」な傾向もある。
特に「ガッテン農法」での、ネジネジ藁など・・・。

これについては、「常識」と「非常識」の境がなくなってきて自由な発想が許されてきたものと解釈し、結果を持たらすものは大いに取り入れようと思う。

畑の石ころについても素人にはありがたい解説が

こういう時代を迎え、わくわくする気持ちを抑えきれない。
道は開けつつある。

今年は、例年の「えひめAI」散布にプラスして、「ガッテン」と「垂直栽培」でがっちりいきたいものだ。

畑仕舞い

令和2年の畑の仕事納めをしました。
今年は12月中旬まで山小舎に居ます。
朝夕はストーブをガンガン焚かないと寒くていられません。

12月の畑とその周りの風景

ガッテン農法を試そうと思い、農法に則った畝立てをしています。
12列の畝が完成しました。ススキや糠、落ち葉、燻炭などを用意しなければいけないガッテン式畝立ては想像通りに大変ではありました。
粘土層が出るまで幅50センチで掘ってゆきます。
石が出てこなく、掘りやすい状態でも、1列につきスコップで4往復程します。

この穴掘りと、すでに掘ってある穴に、ススキなどの資材を入れて土をかぶせる作業を1列ずつワンセットやるので1日精いっぱいでした。

時間にすれば2時間ほどの作業ですがヘトヘトでした。
日差しがよければ、ヤッケを脱ぎ、もう1枚脱いで、袖まくりでやりましたが。日差しがないとヤッケも脱げない寒さです。

深さ30センチほどの粘土層まで掘り、砕く
ススキなどの資材を投入する
埋め戻して畝にする

延べ2週間にも及ぶ作業でした。
山小舎おじさんにもまだ情熱が残っているのだなあと、実感せざるを得ないことでした。

12列のガッテン式畝が完成

5枚借りている畑のうちの1枚のみですが、12列の畝ができました。
余ったススキを畝にかけて養生しました。

ススキで畝と畔を養生する

最後にガッテン農法の神髄であるネジネジを畑の隅に埋めました。

磁石で方角を図り穴を掘る
マニュアル通りにねじった藁とススキの茎を方角に合わせて配置
埋める

果たして来年の畑はどうなっているでしょう。
どう転んでも悪くはならないだろうと思われる今日この頃です。

畑仕舞いしてフェンスを閉める。来年までさようなら

ガッテン農法 ネジネジの教えを乞いに

ガッテン農法シリーズです。
最近の山小舎おじさんの畑関係の活動は、ガッテン式の畝立てと、ネジネジづくりが主な内容になっています。

ネジネジを作って、畑の隅っこや、山小舎の玄関、軽トラの運転席に置いています。

ところがある日、ネジネジ関係の動画を観ていて、これまでの作り方が間違っているのでは?との疑問が沸き起こりました。
ねじり方の向きが逆だったのでは?という疑問です。

そこで、ネジネジ実習会の講師を務めた、富士見町在住のN氏にメールで確認しましたが理解に至りません。

気になりっぱなしのネジネジ問題を解決したくて、富士見町のN氏を訪ねて再度、教えを乞うことにしました。

当日の天気は快晴。
富士見町までのルートは八ヶ岳を望むロケーション。

茅野、原村、富士見町と過ぎるにつれ、角度を変える八ヶ岳の姿。
その圧倒的な存在感は、地域にパワーをもたらす源泉が八ヶ岳にあることを余すことなく伝えている。

茅野から見る八ヶ岳連峰

携帯のナビ通りに軽トラを走らせると、N氏の農園にたどり着いた。
八ヶ岳山麓まで見渡す限りの高原の畑の中に点々とする集落。

その集落の中に住み、定住7年目というN氏。
奥さんともどもガッテン農法を実践し、収穫物は直売所などに出荷しているとのこと。
農閑期の現在は、八ヶ岳連峰の権現岳、編笠山にも登り、山頂にネジネジを置いてきたとのこと。

富士見町のN氏農園から見る八ヶ岳連峰

玉ねぎの世話で忙しいN氏に詫びながら、農園のビニールハウスで、山小舎おじさんの疑問に教えを乞う。

改めて疑問への解答をいただくとともに、イラストで分かりやすく書かれたマニュアルをコピーさせてもらう。

N氏の農園のビニールハウスで教えを乞う
デモ用にN氏が作成してある本式ネジネジ
コピーをいただいたマニュアルの1枚

まずは疑問点を解決できた山小舎おじさん。
正しいネジネジを作り直して、農作業や生活を助けてもらいたい、と思った次第。

ゆくゆくはガッテン農法先輩のN氏のように、ますます活動的な田舎暮らしを送りたいと思いました。

ガッテン農法畝づくりの実践 その3

ガッテン農法にはまっています。
畑に行くたびに畝を掘り、資材を投入して畝立てをしています。
今回はガッテン農法の畝づくりに必要な資材の調達についてレポートします。

枯れすすきを調達

ガッテン農法で大量に必要なのがススキ。
今はススキがシーズンではあるのですが、いかに田舎暮らしの山小舎おじさんといえども、大量のススキを調達するのはひと手間です。

7メートルほどの畝を立てる場合、ススキが一抱え程は必要になります。
数株から10株ほど固まって生えているススキを5回ほど刈って、一抱え程になります。

大門街道沿いのススキの群落。茎の堅い立派なススキが採れる

山小舎から畑の間でススキの群落を探します。
道から近く、軽トラが駐車できる場所、明らかな敷地内ではないこと、が条件です。
ススキは道端にいくらでも生えてはいますが、条件に合う群落となるとそうはありません。

別荘地近くの空き地のススキ。細い茎だが大量にとれる

が、やはり山道。
人に迷惑が掛からないで刈れる場所はあります。

目星をつけた場所で、刃の付いた鎌で刈ってゆきます。
思わず、「俺は河原の枯れすすき・・・」のメロデイ-を心で口ずさみます。

紐で縛って軽トラに積み込みます。
紐で縛らないと走っているうちに風圧で飛んで行ってしまいます。

一抱えを縛って運ぶ。これで1畝とちょっとの量

落ち葉を調達

ガッテン農法では落ち葉も使います。
山小屋周辺に、ミズナラの落ち葉なら無限にあります。
が畑に持ってゆく荷姿に落ち葉を整えるのは、これもひと手間です。

熊手で落ち葉を集め米袋に詰める

熊手で集めて米袋に詰めますが、乾いた落ち葉は軽いものの、まとめるのが大変なので、霜や雨で湿った時を狙います。
7メートルの畝で1から2袋分の落ち葉が必要になります。

燻炭を調達

ガッテン農法の畝づくりでは燻炭を使います。
これは、もみ殻を焼いて自作します。

山小舎付属の炉です。
廃材から生ごみまで何でも燃やします。
これで燻炭を焼いています。

普段はごみ焚きに活躍する炉

まず、炉の中の灰や燃えカスを取り除きます。
種火をおこします。
燃えやすい端材などを使います。
簡単に消えてはまずいので、しっかり火をおこします。

種火はしっかりとまんべんなく燃やす

炉の空気取り入れ口を閉じます。
蒸し焼きにするので、空気が入れば完全燃焼し、灰になってしまいます。
もみ殻の灰はそれで利用価値があるのですが、今回の目的は燻炭化です。

自作の金属板も使って空気取り利口を封鎖

煙突を立てて、その周りにもみ殻を投入します。
しばらく、煙突から盛んに煙が出ます、炎が出るときもあります。

煙突の周りのもみ殻が焦げてゆきます。
燃え具合を見て、もみ殻を混ぜたり、煙突を外したりしながら炭化を待ちます。

翌朝にはもみ殻燻炭が出来上がっています。

種火の上に煙突を立て・・・
煙突が倒れないようにしながらもみ殻を入れてゆく
もみ殻は盛れるだけ盛っておく
翌日に焼きあがった燻炭。少々ごま塩だが・・・