11月中旬の土曜日。晴れた日に軽トラでぶらりと旅に出ました。
晩秋のビーナスライン
茅野から美ヶ原までの76キロの観光道路がビーナスラインです。
この日、このビーナスラインを通って、大門峠から霧ケ峰高原まで行きました。
土曜日とはいえ、まだ10時前。
紅葉も終わりに近く、初霜はとうに降りています。
思ったより交通量が少ない、この日のビーナスラインです。
途中、展望台が各所にあります。
雲海なのか、朝もやなのか、視界の下に雲かキリカがたなびいています。
富士見台という場所もありました、遠くではありますが、富士山がこんなにきれいに見えるとは思いませんでした。
目を西に転じると、すっかり雪化粧をした北アルプスの峰々も展望できます。
空気のキレイな時期のビーナスラインもいいなと思いました。
諏訪の町に立ち寄る
ビーナスラインを途中で下り、上諏訪の町に下ります。
急激なつづらを降りると、国道20号線、上諏訪の町(諏訪市)の中心部、酒蔵が並んでいるあたりに降り立ちます。
今日の目的地は、辰野から牛首峠への道なので、上諏訪は通り道です。
とはいえ、いつものように、20号線や、湖岸の道で、上諏訪の町を通り過ぎるのではなく、気になっていた崖際の道を通ってみました。
崖際の道とは、国道20号線と並行して、諏訪湖の段丘の下を走る道です。
通ってみると、昔ながらの生活感のある町の姿がありました。
観光とは縁のない地元住民の町です。
駅近くには寂れかかった味のある飲み屋横丁もありました。
思わず軽トラをストップさせ、足を運んだのは通りの一角にある手長神社の鳥居が見えたときでした。
参道には長い階段が続いています。
階段を登り切った段丘の上に、社屋がありました。
雰囲気のある神社です。
湖面が遠望される一等地に立つ境内は、明るさを感じさせる場所です。
宮司さんが本殿のお勤めをしていたので挨拶すると、「地元の方ですか?」と聞いてきたので、「長和町からです」と答えました。
御朱印集め?と思われたようでしたが、この神社の雰囲気にひかれてお参りしたとわかると、「東信にもいい神社が多いですよ。町々で祀っている神社に寄ってみてください」とのことでした。
辰野町のタイガー食堂にて昼食
諏訪から国道20号線で塩尻方面へと向かいました。
塩尻峠に至る途中を左折し、伊那谷を通る国道153号線へ出ようと山を越えました。
郷の集落風景を抜けると、国道153号線に行き当たりました。
伊那街道・小野宿のあたりです。
今日の目的の一つは、辰野町小野地区の御料理・タイガーという食堂に寄ることです。
タイガー食堂は、昭和29年に、かの山下清が1か月ほど逗留していたこともあったという、地元で有名な食堂です。
「裸の大将」(1958年)は小林圭樹が山下清を演じた東宝映画でしたが、劇中、駅弁を作る仕出し屋に清が逗留(一応雇われていた)するシーンがありました。その仕出し屋のモデルかな?と思いましたが、そうではなく、画家として有名になった後の清が、新潟に花火を見に行く途中で逗留していた食堂とのことでした。
ソースカツ丼のほか、鶏だしの効いたラーメンもお勧めらしい。
そこで、ミニ焼き肉丼とラーメンのセットにしました。
ラーメンは汁まで完食。
完全手作りの味、満腹感はあるも、後悔感が一切なし。
値段が1,530円と高めだったこと以外は文句なし、でした。
田舎の食堂にありがちな、惰性で営業しているかのような停滞感がない空間。
山下清が長期逗留したのもむべなるかな?
1958年公開の映画「裸の大将」に描かれていた、戦中から戦後の日本の地方と人々の姿が思い出されるような、タイガー食堂でのひと時でした。
牛首峠に迷い込む?
さあ、今回の旅の目的の一つ、辰野から牛首峠を越えて、木曽側に出るルートへゴーです。
辰野町小野地区から伊那街道を伊那に向かって右折し、牛首峠を目指します。
峠道は県道254号線です。
しばらくは集落を過ぎる道。
畑のあぜ道のようなところもあります。
軽自動車でも交差不可能な道幅が続きます。
伝説に彩られた牛首峠を越えると、下りの山道。
ここまで、行きかった車は2台、道を譲って追い抜かせたのが1台。
伊奈側から木曽へと抜ける貴重な道の一つですが、利用する人はほとんどいないようでした。
突然、国道19号線・中山道に出て、峠越えは終了。
塩尻方面へと軽トラを走らせて帰りました。