もみ殻燻炭を自己流で焼く

もみ殻を入手したら、燻炭を焼こう。
燻炭の使い道は、苗床、マルチ替わり、土壌改良(成分的にも物理的にも)と幅広い。
リン酸やカリウムの含有率が高く、また炭の表面の孔に微生物が繁殖するとのこと。
草木灰が植物に良いのは経験的にわかっている。

もみ殻は木材などより圧倒的に炭にしやすい。
原料が入手しやすいし、扱いやすく、炭窯のような設備も必要ないからだ。

で、おじさん流にもみ殻燻炭を作ってみる。
まず、ごみの焼却炉を空っぽにしておく。
焼却炉の底を種火の焼却スペースにして、火を起こす。結構しっかり火を起こしておく。

スロットルを一段入れてから、もみを投入。

スロットルなど、種火ともみを遮るものがないと、空気が完全に遮断されて火が消える。
消えない程度に空気を遮断して蒸し焼きにするのがコツだ。

籾投入と同時に煙突を立てておく。

焼却炉にはもみ2袋分が入る。
焼却炉の空気取り入れ口は封鎖する。

煙突から煙が出ているのを確認しあとは放置。

火加減により、2、3時間後に籾の一部が黒く焦げてくる。
表面が焼け焦げ、くぼんでくるようだと燃えすぎ。
全然焦げてこないと燃えなさすぎ。

数時間から半日で完成。ごま塩状態になったら、上下をかき混ぜてまんべんなく焼く。
出来上がったら水をかけて消火する。消火しないといつまでも燃えている。
本来は表面に水をかけ、密閉して消火するようだ。
その方が出来上がりがさらさらして使いやすく、保存性もいい。
おじさんの焼却炉は密閉が難しいのでバケツで水をかけて消火した。
これだと、保存するためには乾かさなければならない。改良の余地ありだ。

今時のJAには野焼き専用の焼却炉付きの煙突が売っている。そういう時代になっているのだ。

今日のおやつはお向かいからいただいたスイートポテト。
原料はおじさんが差し入れた畑のサツマイモ。うまい。

もみ殻は畑の救世主。だ

世の中では、稲刈りが終わった。
おじさんが住む長野の片田舎では、一般家庭も米はもみで保存し、都度、白米に精米して食べるようだ。

精米所は町村ごとに1か所、どころか地域ごとに一か所もあり、住民は30キロ袋でもみを持ち込み精米する。
精米すると、白米とヌカ、もみ殻に選別され、通常は白米のみを持って帰る。
ヌカともみ殻は精米所に残され、自由に持って帰ることができる(とおじさんは思っている。今まで注意されたことはない)。

ヌカは漬物の時期には精米所によっては、なくなることもあるが、もみ殻は家庭菜園用に取りに来る人があるくらいで、普通は取り放題だ。

おじさんは、玉ねぎの苗の保温、人参の発芽までの保水、カボチャの雑草対策にもみ殻を使っている。
また、冬の間にとにかく畑に撒いておくと土壌が柔らかくなるようだ。
また、もみ殻を燻炭に焼いて使っている。
燻炭や炭、灰などはご存知の通り、土の大好物だ。

ということで、精米所に、もみ殻を取りに行く。
準備は30キロ入りの米の袋。
中古品なら1枚20円以下でJAなどに売っている。50枚ほど用意した。
紙袋なのでぬれると破れるし、口の留めひもも破れやすい。
消耗品だが、もみ殻のほかには落ち葉集めなどに使える。

米袋を20枚ほど軽トラに積んで出発する。
おじさんの畑の近くには3か所も精米所がある。
タンクにもみ殻が入っているので、出口に袋をあてがい、レバーを下げる。
無制限にもみ殻が出てくるので、下限がわからないと袋からあふれる。

今回は、稲刈り終了直後なので、精米する人も少なく数袋分しか取れなかったが、そのうちいくらでも集められるだろう。
ついでにヌカも取ってきた。
ヌカは、窒素、リン酸、カリがバランスよく含まれ、直接的な作物の栄養になる。
おじさんは、直接畑に撒いたが、固まってしまい、土の呼吸を阻害してしまった。
また、落ち葉を集め、鶏糞とともに山小屋わきに積んだが、1500メートルの高地では思うように発酵しなかった。
今後は、畑の冬じまいの時にもみ殻と一緒に撒こうと思っている。
たくあん漬けにも重宝している。

来年の収穫に向けて玉ねぎを定植

今年も玉ねぎ定植の時期となった。
昨年は、専用のビニールマルチを張って張り切って定植したものの、直後の豪雨でマルチがはがれ、苗がほとんど流れた。
流れて白い根を見せている苗を拾い、植え直したが、そのせいなのかどうか、翌年(今年)の実はピンポン玉くらいの大きさだった。
株数も半分くらいの歩留まりだった。

そこで今年は、少々時間と手間をかけた。
畝3本を玉ねぎ用とした。

縄を張って、スコップと鍬で畝を切りなおす。

人の畑を借りているので見かけも重要。畝の縦横が平行になるように気を付ける。

レーキで雑草などを除去する。

石灰を撒いておく。玉ねぎは酸性土壌を嫌うらしい。

JAで苗を買う。1本9円だった。
200本買うと10本くらいおまけしてくれた。

定植の時期は、ここら辺は10月下旬から11月とのこと。おじさんが定植したのは10月20日。
ご存知のように、おじさんの畑は初期成育が弱いので、年内にしっかり根を張らせておくために早めに植えたのだ。

今回はマルチはやめ、路地植えにした。冬季間は雑草が少ないからだ。
防寒と翌春からの雑草対策には、もみ殻を撒くことにした。
もみ殻は土壌がふかふかになるし、えひめAIなど有効成分の環境にも良いと思うからだ。

さて、植付の日。
まず、畝の表面にえひめAIを散布。

苗ポットにも同様に潅水する。苗にもAIに慣らしておくためだ。

苗の根の白い部分まで土をかぶるように植えてゆく。

植え付けてから、再度、AIを潅水し、もみ殻で覆う。

あとは無事な生育を祈るだけ。
長野の厳しい冬と雪を玉ねぎが乗り越えられるかは、半信半疑だったが、去年はちゃんと生き残っていた。
今年は、もうちょっと大きく結実してほしいものだ。

えひめAIは畑の救世主。か?

おじさんの畑作りに欠かせないもの。
えひめAIという菌液だ。

野菜作りのキモは土壌づくりといわれている。
肥料は大事だ。
畝の建て方とか、土寄せの仕方、ビニールや敷き藁によるマルチングも大切だ。
だが、60歳過ぎの定年おじさんにはよくわからない。

Eテレの家庭菜園番組や、家庭菜園雑誌も見るが、その通り行うには、手間もお金もかかる。
おおざっぱでいい加減な性格のおじさんには、もっと楽な方法がないか?
自然に任せればいのではないか?(と言いたいところだがそこまでの哲学はない)。

せめて、土壌をいい状態にしようと思った。
土壌中の微生物、微量元素が活躍できるような環境にすれば、作物にもいいはず。
そこで出会ったのが、えひめAI。
どこにでも売っている食材で作ることができる菌液。
愛媛県工業技術センターの先生が開発した。
農作物用のほか消臭、環境改善などに利用できる。

おじさんは去年から自作してポリタンクに保存しておき、希釈して、種まきポットや苗の定植時の潅水などに使っている。
トイレの消臭、風呂の湯、洗濯機などにも使っている。

畑の土壌に対する効果としては、土着微生物を増やしたり、作物が土中のミネラルを吸収しやすくしたり、殺菌効果などもあるらしい。
なるほど、作物の生育はゆっくりしているが、後々ぐんぐん育ち、味も深みがあるような気がしている。
ズッキーニや、トマトは10月下旬に近くなっても微々たるものだが収穫が続いている。
枝豆がほんのり甘くできた。

おじさんが今年、買った肥料は、石灰(土壌中和)、尿素(とうもろこしなどの追肥)、玉ねぎ用の追肥。
畑に入れた資材は、もみ殻ともみ殻燻炭のみ。

えひめAIについて、詳しくは、現代農業の別冊に載っている。

えひめAIを作ってみる。
材料は、砂糖、イースト、ヨーグルト、納豆。

イーストと砂糖を混ぜる。

そこへヨーグルトを入れて混ぜる。

ぬるま湯で溶いて35度の液体にする。

納豆を1粒ほど入れる。

さっそく発酵してきてぶくぶくし始める。

イーストの酵母菌が砂糖を栄養として発酵し始めた。
保温容器に入れて1週間弱。保温に注意。
ヨーグルトの乳酸菌、納豆の納豆菌も発酵し、合わさってえひめAIが出来上がる。

嫌気性の納豆菌と好気性の乳酸菌を一緒に混ぜたのが画期的らしい。
開発したのが化学専門でなく、工業系の先生だったからの斬新なアイデアだった。

えひめAIの特徴をもう一つ。
虫が集まってくる。
畑に撒くとすぐに虫が飛んでくるし、玄関先のじょうろの中にはクワガタムシがいたりした。
じょうろでAIの希釈液を撒いていたから。
試しにスズメバチ用のトラップを作り中にAIの希釈液を入れておいたが、これは捕まらなかった。残念。

 

 

おじさん里芋を掘る

今日も定年おじさんは畑に行きました。
山小屋から軽トラックで畑まで。1500メートルから7~800メートルへ1500、一気に下ります。
行きの、下り坂は、軽トラのシフトをニュートラルにしておけば、50~60キロが出続けます。
ガソリン高の折、助かります。
その代わりに帰りは、軽トラでは、アクセルを踏み続けても60キロまでしか出ない上り坂です。
ガソリン代は行きと帰りを平均するとイーブンです。

ということで畑。
今日は、里芋の収穫です。
サトイモは5月1日に植えました。
ビニールマルチを張り、ショウガと交互に種イモを植えました。
ショウガと交互にしたのは、ショウガが日陰を好むと聞いたからです。

今年は暑い日が続き、なかなか芽が出ませんでした。
一旦芽が出ると葉と茎が勢い良く伸びました。

元肥も追肥も特になし。
おじさん得意の、えひめA1という微生物の希釈液を水やりの時に根元にまいただけです。
えひめAIについては別の投稿で話題にする予定です。お楽しみに。

畑にいると、時々地元の人が通りかかります。
よく会う人に60歳代後半の人がいます。地元おじさんとします。
この人は、定年おじさんによく声をかけてくれます。
お盆でお孫さんが帰省するときには、庭の手製のピザ窯でピザを焼いてました。
1切れご馳走になりました。

この地元おじさんが、サツマイモ、里芋の様子を見て「この辺りは寒いから(地温が低いから)、早めに収穫した方がいい(活けておくと霜にやられる)」とアドバイスしてくれました。
そこで、里芋を1株掘ってみると、まずまずの収穫。
それからは畑に行くたびに1株ずつ掘って持って帰っています。

今日は、玉ねぎの定植用の畝づくりに畑に行きましたが、まだ残っている里芋の1株を掘りました。

株を抜いてみるとこんな感じ。

子芋を外し、茎を包丁で切り離す。
この後、芋のひげ根をはさみで切り、泥を洗う。

作物や、農機具の泥を洗うのはここ。
農道の脇を流れる側溝。夏の水やりもここの水で。

1株の収穫はこれくらい。

山小屋には、収穫したサツマイモと里芋が、箱にあふれています。

ヤーコンの花が咲いていました。

直売所へゴー!

田舎では何を差し置いても直売所へゴーだ!

その土地らしさを求めた時、どこへ行く?
街へ出てシャッター街を歩くか?
城下町の路地を覗くか?
人気(ひとけ)を求めて駅ビルへ闖入するか?

それもいいだろう。
だが、田舎が等身大の活気を見せる場所はどこか?
地域の社交場にして生産物の晴れ舞台はどこにある?
それは直売所なのだ!

国交省管轄の道の駅というところもある。
残念ながらそこは地元にとってよそ行きの場所。
土産品をかき集めて、標準語で接客するイメージ。

道の駅に準ずる大掛かりな直売所もある。
ここら辺では、たてしな自由農園など。
物資は豊富だが、品ぞろえ優先で、県外の野菜も多い。加工品など油断すると輸入品を買ってしまう。贈答用の桃や、ブドウなどを買うにはいいけどね。

おじさんのお気に入りは、農産物直売加工センター・あさつゆ。
上田市丸子にある。
野菜は全品地元産。季節外れの野菜はない。今だとリンゴが幅を利かせている。
トウガラシなど、はおじさんが作ったほうがモノが良かったりすることもある。が、そのほかは近隣のプロ農家が作った美品。しかも安い。
夏のキューリ、なすなどは一袋100円から200円。

ジャム用の桃、洋ナシ、リンゴはここで買う。
漬物用のキューリやナスもここ。
今日は秋映というリンゴを5個入り400円で購入。
おじさんの畑にない長ネギは3本で120円。

食事もできる。
地元のおばさんが作る手打ちうどんは、ほとんど家庭料理。つゆまで完食する。
松茸や朝鮮人参、日本はちみつなども売っているが、あくまでも地元産だ。

地元の人がひっきりなしに集まってくる。
ここはいい。

サツマイモを掘りました

おじさんの畑も今年の終盤。
収穫を待つのは、サツマイモ、里芋、ヤーコン、大根、人参、キャベツ。
ハックルベリー、食用ホオズキはまだまだ着果中。
夏野菜は終了。トマト、ズッキーニ、ピーマン、シシトウが最後の頑張り中。

というわけで、今日はサツマイモを掘った。
5メートルほどの畝1列。
まず、たくましく伸びた弦をむしって集める。
食糧難時代には食べたという、芋の弦。ゴムのように強力だ。

3本鍬で掘ってゆく。
一株の収穫はこれくらい。
品種はベニアズマ。苗を買って植えるのだが、一番値段が安かった。
マルチを敷いて定植したが、今年の猛暑で、苗が焼けてしまった。
やむなく植え替え。苗が直接マルチに触れないようにして植えた。
もう1畝は路地で。
今回は路地の分を収穫。全部でコンテナ委1箱の収穫。20キロくらいか?
マルチで作った畝より収量が少なく、形もやや小ぶり。

長野は地温が低く、サツマイモの糖度も低いということだが、マルチと路地で地温に差がつき、収量に影響したのかもしれない。
素人百姓は日々勉強。
さらには、勉強しても必ずしも結果につながらないのが畑の奥深いところだが。

ほかに、里芋、大根、人参も、少々収穫。
大家さんにもおすそ分けした。
今年は大根の出来が良いので、自前の大根でタクアンを漬けよう。
割れたり、二股の面白いタクアンができるかもしれない。

今年の松茸は豊作

長野県は全国屈指の松茸の産地。
松茸に限らずキノコ全般が豊富。
今年は松茸が豊作とのこと。
去年は不作で、値段もキロ6万円と倍値だった。
買おうにも物がなかった。

今年は値段も安い。
今日行った、たてしな自由農園では、残っているのは3パックだったが、この前は20パックほども出ていて、縦にカットしたものまで売られていた。
カットして値段を下げて売るほど、出物が多いということなのでしょう。

おじさんは今年、2回買いました。
いずれも自宅の家族のお土産です。
おじさんの口に入ったのはそのうちの1回。
松茸ご飯で食べましたが、家族が言うように、自然な香りで満足感がありました。
しっかり香りがするものの、しつこさがありませんでした。
やはり松茸の味お吸い物とは違いました。
松茸ご飯を炊いた窯では、しばらく、ご飯を炊くたびに松茸の残り香がしてました。

地元では、松茸山の権利を3年単位で売買もしている。
3年単位とするのは、どうしても不作と豊作があり、3年間に1度は豊作の年に当たるからだそう。
この間は地元のニュース番組で、上田の小学校給食に、業者が松茸100本を提供と、伝えていました。
来年は松茸たべられるかな?

定年おじさん 別荘地の集まりに参加する

おじさんの住む別荘地は、数百の区画があり、その半分くらいに別荘が建っている。
そのうちで、定住しているのが数十軒。
夏や冬に長期滞在するおじさんのようなところが数十軒。もっといるかな?
ということは、数百の区画の別荘地でも、よく利用しているのはせいぜい100軒どまりということ。
限られた敷地内で、限られたメンバーが交流せざるを得ないというのが別荘地である。

おじさんの山小屋の近所に、Kさんという定住者がいる。ご夫婦でペンションと貸別荘を経営している。
おじさんは、窯でピザを焼いたからとご馳走になったりしていた。
先日、畑で採れたサツマイモを持ってゆくと、「今度、芋煮会をするから来ないか?」とご招待を受けた。

Kさんは70歳代。集まったメンバーも70歳代以上がメイン。男女合わせて10人ほど。
20年前からKさんらの声掛けで集まった別荘地内のメンバーで、共同で畑を借りて朝市に出品したり、本を集めて図書館を作ったり、ハイキングをしたり、とのこと。

当時、Kさんが発行したという会報を見ると、活動の多彩さもさることながら、写真入りで作られた会報の丁寧な作りが印象的だった。

メンバーには偶然ながら、おじさんの大学の先輩の人もいた。20年近い先輩で工学部応用化学出身。
畑で採れたサツマイモを蒸留して焼酎を作っていたとの話が印象的。

男手で芋煮を作った。
畑で採れた里芋、大根を持ち寄り、豚肉の出汁で大鍋で煮る。
Kさん宅の土間が大人数の炊事には使い勝手がよい。
煮えるまで、おじさん持参の上田岡崎酒造の純米亀齢を開けて男チームで歓談。

鍋ができてから、女衆の待つ母屋の食堂に入る。
母屋の作りは防寒がしっかりしていて暖かい。これがペンション仕様か。
女衆持ち寄りの、カボチャ、キューリの辛子漬け、マツタケご飯、揚げ物などをつまみに夕方まで歓談。

皆さん久しぶりの集まりとのことで、話題は20年間の思い出話が主だった。
Kさんの人柄か、興味と話題が多彩な、行動的なメンバーだった。
別荘住民は個性的な人が多い印象だが、今回のメンバーからは、「至極まっとうな人たちが、まずまずのリタイア生活を送っている」感じがした。
高齢や病気で、アルコールを制限しているメンバーが多い中、亀齢の一升瓶が開き、三三五五の散会となった。メンバーはそのまま車で帰って行ったが、別荘地内のこととはいえ、飲酒運転で大丈夫だったろうか?

信州ソウルフード放浪記VOL.1 長野いむらやであんかけ焼きそばを食べる

長野へ映画を見に行った時の昼食に、地元で人気のいむら屋であんかけ焼きそばを食べた。

ちなみに地元に住んでいる人は、単に「長野」というと、長野市を指すようだ。
では長野県のことは何というのか。

おじさんの感じだが、地元の人のエリア感は通常は、町村単位であらわされることが多く、「ここら辺」とは町村単位を指すことが多いようだ。

もうちょっと広いエリアを指す場合は、北信、中信など、県を北、中、南、東で区分するエリア感か。
県全体を表すときは、通常は信州。
部外者に説明したり、公式な表現でやっと長野県という表現が出てくるような気がする。
いずれにせよ県内で「長野」という場合は、長野市を指すことが多い。

で、長野に行ったとき。たまにはご当地のものを食べようと思った。
できれば地元の人に愛される、リーズナブルな値段のもの。大学近くの食堂の定食のような。

映画館のある、権堂商店街は、善光寺の参道と、長野中央通りという幹線道路を結ぶアーケード街。
そこから駅方面にワンブロック下がったところに、いむら屋権藤店がある。
店正面の派手なレイアウトとオーソドックスなメニューサンプルケース。「味の散歩道」の看板に若干の不安も感じるが。

昼時に入ってみると、店内はほぼ満員。サラリーマンが二人ほどレジに並んでいる。
食券を先に買う方式らしい。皆、焼きそばを頼んでいる。
メニューを見ると「あんかけ中華」と「焼きそば」がメインらしい。
近々のテレビ朝日土曜朝の旅サラダという番組で、アポなし食レポコーナーを長野市でやっていた時に、取材拒否された店だ。

レジを仕切るマスターに失礼のないように、あんかけ中華と注文。席はカウンターになると告げられる。
瞬間、おじさんが注文したかったのはあんかけ焼きそばで、汁ソバのあんかけではないことに気づき、あわてて訂正。
マスターは何事もないように食券を切りなおしてくれる。

マスターをはじめ、ホール、厨房のスタッフは白衣姿。昔ながらの食堂のスタッフの姿だ。
「渡る世間に鬼ばかり」のラーメン屋の俳優たちも、白衣姿だが、食堂で話してばかりで動いていない。
ここでは、マスターを先頭に無駄なく動いている。

厨房がガラス張りで見える。大鍋であんを作っている。女性のホールスタッフが食券の末尾番号を呼びながら配膳している。
カウンターに座ったおじさんの両隣も焼きそば。
左の人は大盛とシューマイを頼み、固焼きメンを箸でバリバリ砕きながら食べている。

やがておじさんのところにも焼きそばが運ばれてくる。普通盛でよかった。キャベツときくらげがメインのあんに、大きめのチャーシュウが2枚乗っている。
あんが固いので、メンは最後まで硬いまま、あんがしみない。
味付けは甘い。ラー油化、辛子が欲しかったが酢をかけて食べると最後まで飽きなかった。
あとで、テーブルに辛子酢が乗っていたことに気づく。もっとおいしく食べられたかもしれなかった。

少数だが、あんかけラーメンを食べている人もいた。次回はスープの味も確かめてみたくなった。