信州ソウルフード放浪記VOL.34 伊那市「門」のソースカツ丼

伊那市、駒ケ根市はソースカツ丼が美味しいので有名です。
分厚く、柔らかい豚のカツが甘いソースをまとい、キャベツが敷かれたどんぶり飯の上に乗っかって出されるのが一般的です。
どんぶりの蓋は、カツのボリュームを押さえきれず、浮いています。

伊那市には、ソースカツ丼の有名店が何店かあります。
肉屋さんが経営する「たけだ」、駅近くの「田村食堂」などには山小舎おじさんも行きました。
山小舎おばさんをはじめ、うちの一家は「たけだ」のソースカツ丼が好きです。

今回は、伊那市の駅前商店街の地下にある「門」という店でソースカツ丼をいただきました。

伊那市の駅近く、飯田線と並行してアーケード街があります。
近年の地方都市の例にもれず、歩く人の姿とてごく少ない商店街で、シャッターの下りた店も少なくありません。
山小舎おじさんが伊那市を訪れるようになってからでも、スーパーや土産物屋などがシャッターを下ろしたままの姿を見せている「シャッター街」です。

伊那市駅前の商店街

うっかりすると通り過ぎてしまうほどさりげなく「門」の入り口があります。
階段で降りてゆくと入り口があります。

表通りの人気のなさが嘘のように、昼時の店内は満席に近い活況でした。
カウンターに案内されます。

細長い店内にはテーブル席が並び、反対側には3席ほどのカウンター席。
カウンター内にはママさんらしき高齢の女性が陣取っています。

夜には食事付きのバーになるのでしょう。
ボトルキープが並んでいます。

食事メニューは洋食から中華、麺類、丼物までそろっています。
ランチ客から、地元の集まり、仕事帰りに一杯のサラリーマン客までをフォローできる態勢です。

「門」の入り口
入り口に掲げられたメニュー

客層は昼休みの食事に来た勤め人が多く、コーヒーで一休み中の人、打ち合わせ中のビジネスマンなどもいます。
入ってくるなり「焼酎お湯割り」とひとこと、どっかりテーブル席に座る高齢の男性の姿も。
店の雰囲気、客層ともに地元感にあふれています。
店のスタッフの心づかいが感じられ、よそ者にとっても居心地がいいです。

山小屋おじさんは「ソースカツ丼・ロース」を頼みました。
サーブしてくれたホール係の婦人に「写真をとってもいいですか」と聞くと、了解してくれた後「蓋にカツを2、3枚取り分けると、ご飯が食べやすくなりますよ」と言ってくれました。
旅のよそ者感丸出しの客へのありがたいアドバイスです。

ソースカツ丼ロース。1400円

期待通りに厚くて柔らかいカツ。
ご飯の量は多すぎず少なすぎず。
味噌汁のダシも効いています。

そしてソースカツ丼のポイントの一つでもあるタレが美味しかったのです。
例えば、伊那市内の有名店「たけだ」のソースカツ丼は自家製のタレが、フルーテイで美味しく飽きが来ないので何度でも食べたくなります。
甘いだけのタレだと飽きてしまいます。
「門」のタレは「たけだ」ほどではありませんが、飽きの来ない味でした。

「門」に入る前に気になっていたことがありました。
表通りの向いには、伊那市に来ると寄る酒屋があります。
希少な酒が入荷すると大きな看板に「秘酒」などと大書して掲げる酒屋で、看板につられて寄ってみると、なるほど空気に触れないで絞ったという真澄の限定品などがあったりします。
地元伊那地方の銘柄では、辰野町小野地区の「夜明け前」がおすすめとのことでした。

この酒屋が閉まっていたので気になって、「門」のカウンター内のママさんに聞いてみました。
ママさんの年季の入った顔に比べると気さくな返答が返ってきて「店主がケガして閉めた」とのことでした。
ホール係の婦人も加わってきて、このネタで話が盛り上がりそうな勢いでしたが、仕事の邪魔をしてはいけないと思い会計を済ませて外へ出ました。

伊那での新しい居場所ができたような「門」でのひと時でした。

伊那に来たらこれを見ないと!商店街の一角に掲げられた金言
伊那へ行く途中の杖突峠で野生の猿に遭遇。ガードレール下にいる

投稿者: 定年おじさん

1956年北海道生まれ。2017年に会社を退職。縁あって、長野の山小屋で単身暮らしを開始。畑作り、薪割り、保存食づくり、山小屋のメンテナンスが日課。田舎暮らしの中で、60歳代の生きがい、生計、家族関係などの問題について考える。60歳代になって人生に新しい地平は広がるのか?ご同輩世代、若い世代の参加(ご意見、ご考察のコメント)を待つ。

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