ロッサナ・ポデスタは1934年生まれのイタリア女優。
戦後、アンナ・マニアーニ、アリダ・ヴァリ、シルバーナ・マンガーノ、ソフィア・ローレン、ジーナ・ロロブリジータ、クラウデイア・カルデイナーレと続いたイタリア女優の流れ。
逞しくて泥くさく、野生の女の色気ムキ出しの女優さんたちだった。
その戦中戦後第一世代から時間がたち、敗戦国イタリアも落ち着いてきたころあらわれたのがポデスタだった。
野性味豊かなマンガーノ、ローレンらに比べると、スケール感に乏しいものの、かわいらしさ、アイドル性に加えイタリア女優ならではのボリューム感を併せ持つ存在のポデスタだった。
この度、上田映劇ではポデスタ主演の「黄金の七人」「続黄金の七人・レインボー作戦」のほか、カトリーヌ・スパーク主演の「女性上位時代」、ラウラ・アントネッリ主演の「マット・ロッソ」の4作品が上映された。
今回はポデスタ主演の2作品に加え、DVDで見ることができた「黄金の七人・6+1エロチカ大作戦」を特集する。
「黄金の七人」 1965年 マルコ・ビカリオ監督 イタリア DVD鑑賞
アニメ「ルパン三世」が元ネタにしたって、ほとんどそのままじゃないか!
ルパンのキャラはベルモンドのコピーらしく、銭形警部のキャラは元ネタより誇張されてはいるが。
ロッサナ・ポデスタについてはスタイル、音楽がそっくりそのまま峰不二子にコピーされている。
左様にこの作品のロッサナは鮮烈で強烈。
ぶっ飛んだファッションで登場し、敵味方関係なく男どもをとろけさせ、義理人情関係なく裏切り、またよりを戻す。
銀行強盗という現在ならばありえないアナログそのものの行為。
デジタルではなく、発信機による映像と音声の伝達によって。
当時は犯罪もアナログなコミュニケーションによるものだったのだなあ。
人間的だったなあ。
声によるコミュニケーションで、マテリアルそのものの金塊を物理的に盗むなんて。
今はネットによるデジタルの世界で、数字の移動による詐欺まがいの犯罪の世界だもんな。
ロッサナはアイドル時代を経て、色気と貫禄十分な演技。
奇抜なファッションにも負けていない。
映画は、脱力感に満ち満ちながらも、随所でスピード十分などんでん返し。
その点は今でも新鮮な「黄金の七人」でした。.
「黄金の七人・レインボー作戦」 1966年 マルコ・ビカリオ監督 イタリア 上田映劇で鑑賞
1作目の世界的ヒットを受け作られた続編。
主要キャストは同一。
いつものように工事のふりをして銀行強盗を仕掛ける黄金の七人。
延べ棒の強奪に成功?と思いきや。
警察よりも政府寄りの上の「組織」に強盗を妨害される七人。
その頭脳である「教授」の協力を「組織」から強要される。
さすがの七人もここまでか?と思いきや、軽やかに斜め上を行く黄金の七人。
一層晴れやかにぶっ飛んだ存在感を示すロッサナ・ポデスタ。
ぴったりのボデイスーツスタイルも決まっている。
今回の仕掛けは、潜水艦を使ってのアクション。
金もかかっている。
ロシアを敵国とし、中南米の革命軍が出てくる。
政治的な色合いは「黄金の七人」には似合わなかったが。
「黄金の七人 1+6エロチカ大作戦」 1971年 マルコ・ビカリオ監督 イタリア DVD鑑賞
「黄金の七人」とは関係のない作品。
ロッサナ・ポデスタが主演で監督が同じことから邦題に「黄金の七人」が使われたもの。
イタリア映画伝統の艶笑もので、シチリア出身の絶倫家が北部ベルガモにやってきて、富豪マダムの間で種馬として一世を風靡するというストーリー。
主人公が執事として仕える屋敷の奥様がロッサナ・ポデスタ。
「黄金の七人」から数年たち、アイドルというより奥様として風格、貫禄が出たロッサナ。
種馬とそんな仲になるのもむべなるかな。
イタリア映画がなぜか好む富豪(成金)の金満生活が存分に描かれる。
種馬を取り巻くマダムには美人女優のシルバ・コシナと演技派のアドリアーナ・アステイ。
「ゴッドファーザー」でシチリアの結婚式で花嫁役を務めたピア・ジャンカルロも出ている。
それぞれ魅力的なイタリア女優ではあるが、アドリアーナ・アステイの死体になった後の目を見開いた演技が最高だった!
ロッサナのファッションは、登場シーンのレオタード姿から、当時はやった?ホットパンツスタイルなどまさに百花繚乱。