戸倉上山田温泉の玄関口・しなの鉄道(旧国鉄信越線)戸倉駅の待合室に、立食い蕎麦店があります。
蕎麦を手渡すカウンターにはパック入りの焼き鳥や総菜、おにぎりなどが並びます。
お客さんが蕎麦をすするのは、待合室の椅子です。
テーブルもあります。
戸倉温泉は千曲川の右岸、上山田温泉は左岸にあります。
上山田温泉は、芸者さんがいて、飲み屋街が何本もの路地に続く歓楽街的な温泉場です。
温泉ホテルが何軒も建っています。
戸倉温泉には今はやりのスーパー銭湯的な、日帰り温泉施設があります。
軽井沢と長野市を結ぶ、しなの鉄道戸倉駅はこの両温泉への最寄り駅です。
立食い蕎麦かかしへ寄ってみます。
お店の中から「何にします?」と元気な声が掛かります。
目前のパックの列に目を取られつつ、メニュー表の中からかき揚げ蕎麦を注文します。
ついでに目に入った、柴漬け入りのおにぎりも。
かき揚げ蕎麦550円、おにぎり180円は今どきの適正価格でしょう。
料金は店主に手渡しの、今時珍しくなった完全アナログ・対面コミュニケート方式です。
一気に昭和の懐かしさが漂います。
カウンター前のテーブルの上の、割りばし入れ、七味、おしぼりも強烈に「昭和」を主張します。
店主からそばを受け取り、テーブル付きの椅子でいただきます。
待合室には誰の姿もありません。
懐かしい蕎麦ダシの味と、手作りおにぎりを一気にかき込みます。
三々五々、部活を終えて帰ってきた高校生たちが、駅に降り立ち、散ってゆきます。
過ぎし日の、ローカルな駅の風景そのままです。
店主に了解を得て、店周辺の写真を撮りました。
状況が許せば、一杯飲んでゆきたくなる場所でした。
ここは、信州の角打ちのような場所なのかもしれません。