令和3年の1月。
八王子の街を歩いてきた。
八王子は調布から京王線で30分ほど。
東京との西端に位置する市で独自の文化圏を有する町。
山小舎おじさんが30代前半の時に、八王子にあった職業訓練校に何か月か通ったことがあった。
当時の訓練校は国家直営?
専用の校舎を有し、専任職員が配置されていた。
教室は机・椅子・黒板など、小中高学校と全く同じ造り。
訓練生はクラス委員を選出しホームルームを運営、放課後の掃除当番もあった。
また、クラスメイトは、場所柄か八王子在住の人が多く、言葉の端端から彼らの地元意識を感じたものでした。
この日、京王線八王子駅に着いたおじさんは、JR八王子駅方面へ向かい、駅前の商店街を目指します。
まずは古本の佐藤書店。
蔵書は多く、見て回るだけで楽しめます。
ここで古い角川文庫などを買ったことがありました。
1970年代ごろの角川文庫は、公開された洋画をさっそく文庫化し、カバーを映画の場面写真でデザインしていました。
今ではその時代の角川文庫を古書店で見かけることも少なくなっています。
昼食は佐藤書店の並びのトンカツ屋で。
600円でかつ定食が食べられます。
子供入場お断りの張り紙があったり、お愛想がほとんどないサービスぶりが特徴の食堂ですが、安く一食食べられてこれで充分です。
少し前まではかつ定食が500円でした。
八王子に来たらもう一か所寄るところがあります。
国道20号線沿いの団子屋・伊勢屋です。
団子、もち、海苔巻き、稲荷ずしなどを扱って、地元客で引きも切らない店です。
ここでお土産の団子とどら焼きでも、と思いましたが、今日は定休日でした。
残念。
国道20号沿いには、ユーミンこと松任谷由実の実家、荒井呉服店もあります。
かつて、職業訓練校仲間だった地元の女性は、単に「アライ」と、この店のことを呼んでいました。
地元と荒井呉服店の密着度をその時感じました。
八王子はかつて繊維産業で栄えた町。
旦那衆が遊ぶ、三業地が栄えたことでも有名で、今でも芸者がいるとのこと。
お茶屋、置屋、料理屋が並んだ三業地の名残りも残っています。
赤線と呼ばれた特飲街はまた別の場所にあります。
今回は訪ねていません。
これまでのコースは八王子歩きの際の定番コース。
おじさん的にはマンネリ感もぬぐえません。
そこで改めて八王子の全体像を眺めるべく、郷土博物館を探してみることにしました。
初めて訪れる町でそうするように、地元の博物館、資料館を訪ねることのしたのです。
八王子の郷土資料館はJR駅から徒歩20分ほど。
立地といい、建物といい、内容といい、現在の大都市・八王子にはもはやふさわしくないレベルでした。
時代ごとに地域の発展の様子を簡潔にまとめて展示してあるのですが、ありがちな歴史の展示の印象が強い。
特有の繊維産業とそれに伴う町の興隆に焦点を置くようにしてはどうでしょう?
そのためには、周辺地域との原料・物資の交流ルートの変遷を大きく図形化して展示し、また最盛期の八王子の中心街を大パノラマ化するなど、ドラマチックに再構築してはどうでしょう?
などと勝手に想像してしまう山小舎おじさんでした。
時々訪れたくなる街、八王子。
今度来るときにはどういう姿を見せてくれるのか楽しみです。