山小屋は秋 薪を割って燃料作り

おじさんのところは暖房は薪ストーブ。
脂分の多い針葉樹も燃やせるという優れもので、煙突も二重構造で燃焼効率がよい。

夏の間は、燃料の薪作りが仕事。
夏の日差しと風を浴びて、割ったばかりの薪が乾いてゆく。
理想的には、ふた夏超えた薪が良いとされる。
実際にはよく乾燥した薪はすぐ燃えるので、少しくらい湿気の残る太い薪のほうが火持ちがよい。
温度は乾いたまきのほうが断然出る。

また、別に焚きつけ用の木材をお用意しなければならない。
焚きつけは、おじさん、大工さんなどから不要の板材をもらってきて、テーブルソーでカットする。
それを手斧で細かく割って使う。
焚きつけ材は乾いていればいるほど良い。

ついで、本燃料用の薪作り。
まずは丸太を入手する。
おじさんは別荘地の伐採などを行う業者から入手する。クレーン付きのトラックで運んでくるので、普通は費用が掛かる。
今回は厄介者の白樺材ということで無料だった。
一般的には、伐採の情報を入手し、指定の場所に軽トラで駆け付け、その場でチェーンソウでカットして持ってくるなどの方法で入手するらしい。

おじさんの別荘地では、自分の敷地内であれば倒木自由なので、自力で倒木して入手することもできる。
自力の倒木は、チェーンソウのコンデイションやカットの方法が完全でなければならないし、倒れる方向のコントロールを間違うと、屋根に激突したり、ほかの立木に引っかかって倒れないなどのトラブルがありうる。

さて、丸太を入手すると、玉切りというカット作業に入る。
チェーンソウで行うが、この機械、慣れるまで使いこなすのが難しい。
刃を研がなければならないし、カットの仕方を間違うと、刃が挟まったり、跳ね返ってきたりする。
40センチ前後の長さでカットする。
太い部分は短めに、細い部分は長めにカットしてよい。

玉切りが終わると薪割だ。
「七人の侍」で千秋実が気持ちよく薪割していたシーンを思い出す人もいよう。
節のない、太くもない玉を、よく慣れた人が割るとああなるかもしれない。
実際は、節だらけの玉や、二股の玉などがあり、ああはいかない。
そこで、楔とハンマーも用意して薪割に臨む。
鉞は和式のものより、洋式のほうがいいかもしれない。

コツは実地で覚えるしかない。
太いものは、端から割るとか、節から遠い部分から割ってゆくとか。
最初は手のひらと指の節が固まるくらいダメージが残る。
鉞を振り下ろすポイントを間違えると、刃が跳ね返される。
刃が少しでも食い込むところが割り口のポイント。
全然だめなら、楔を使ってみる。
二股の玉なら、チェーンソウで縦に切れ目を入れないと歯が立たないかもしれない。

割ったまきは、乾燥させる。
風通しの良い、日当たりのいいところに積んで干す。
雨除けは、割ったばかりの時はあまり気にせず、乾燥した薪の場合はきっちり防水するようだ。
乾燥台設置のコツは、何より土台をしっかりさせること。ぐらぐらしたところに積むと途中で崩れる。
おじさんは、農協で廃棄する木製パレットをもらってきて土台にしている。
積み方のコツは、端っこが崩れないように互い違いにすること。

こうやって燃料を作る。
直接費用は0円。
10月の山小屋ではすでにストーブが活躍している

台風一過 上田映劇へ行ってきた

台風24号が通過していった。
昨夜から一晩中、雨と風が山小屋を襲っていた。
一応、雨戸を閉めて寝た。
今朝、家の周りはほとんど被害がなかった。
台風一過の晴天。気温も高く、夏を思い出す陽気となった。

蓼科高原映画祭を見てから、映画好きの血が騒いでいる。
茅野に新星劇場という古くからの映画館があるが、上田にも上田映劇という、古さなら負けない映画館がある。

なんと戦前からの演劇小屋が始まりで、その後映画専門官になったものの、一時閉館になり、最近復活したというもの。
正面の風景に見る、浅草雷門というレイアウトが強烈。

思い立って訪れた。
初めての入場。シルバー料金1100円。
もぎりには支配人なのか、青年が一人。
ロビーの写真撮影の許可を得て、ロビーを一巡り。

「けんかえれじい」という昔の名作のコピーが壁に貼られている。
由来を尋ねると、上田ロケ作品とのこと。
そういえば現在まで、上田をロケ地とする映画は多いようだ。「犬神家の一族」もそうだった。
町全体を覆う、ノスタルジックな雰囲気がロケを呼ぶのだろうか。

さて、上田映劇。1日4作品程度を入れ替えで上映しているようで、洋画のアートシアター系新作が多い印象。
本日は、13:35分からの回の「若い女」という作品を見る。
2017年のフランス映画で、カンヌ映画祭でカメラドール賞受賞作。新人監督賞の意味らしい。
内容は気軽な感じで、今時の若い(31歳とい設定だから若くもないか)フランス女性の現実を描いている。
身もふたもないエピソードが続くが、どこかユーモラスな感じは、現代の日本の若者の現実にも通じて親近感を覚えた。
観客は全部で4人ほど。

支配人の話によると、映画館の設備的には、デジタル素材のほか、35ミリフィルムの上映も可能とのこと。
昔ながらの天井の高い造り、大きなスクリーンの映画館だった。
ロビーは、旧作ポスターの展示や、映画関係本、リクエスト用紙などが置かれていた。
望みうるならば、もう少しマニアックなポスターの展示や、地元ロケ風景の写真展示など、とことん個人趣味に走ってほしかった。
映画ファンにとって、映画館のロビーで待つ時間ほどわくわくするものはないからだ。