定年おじさんは山小屋を冬じまい、東京の自宅に戻りました。
3月まで自宅にいます。
その間、アルバイトしようと思っています。
アルバイトが始まる前のある日、おじさんの大好きな神田神保町で半日過ごしました。
神保町シアターで「女は夜化粧する」を観る
その昔全国にあった3本立ての名画座は今どこにもありません。
時間つぶしで映画館へ向かう人口がほぼいなくなったことと、古今東西の名画はDVDなどで部屋で見られるようになったこと、それに特に洋画では権利の問題で旧作の上映が困難になったこと、などが理由です。
おじさんが高校、大学時代を過ごした札幌には当時、オリオン座という3本立て名画座がありました。
また、テアトルポー、ニコー劇場などの1本立て名画座があり、封切り直後の邦画や洋画をやってました。
おじさんは、封切り直後の「仁義なき戦いシリーズ」や、最近死んだベルナド・ベルトルッチの「暗殺の森」などをここで観ました。
封切館へ行かなくとも、邦画、洋画の主要作品はここで観られたものでした。
当時は、全国的にも池袋文芸坐、銀座並木座、京都一条寺の京一会館などの有名な名画座がありました。
おじさんは大学入学後の春休みに、関西の親せきの家に投宿して、京一会館へ向かい「次郎長三国志シリーズ」(マキノ雅弘旧作版)などを観たものです。
また、池袋文芸坐の満員の中で、ビスコンティの「ベニスに死す」をたばこの煙越しに観たのも思い出です。
上映プリントがボロボロで、巻頭と巻末は画面が飛び飛びでした。
最近、といってもここ10年くらいですが、東京を中心に名画座が新たに勃興しています。
一時閉鎖していた文芸坐が池袋に復活し、渋谷にシネマヴェーラ、阿佐ヶ谷にラピュタ阿佐ヶ谷という名画座ができました。
特徴はいずれも古い邦画を中心にプログラミングし、フィルム上映がメインということ。
その中の1館に神保町シアターがあります。
本日の上映作品は1961年の大映作品「女は夜化粧する」。
山本富士子さんの主演です。
おじさん、山本富士子の出演作品は、小津監督の「彼岸花」、東宝作品の「如何なる星のもとに」「墨東奇譚」などしか観ておらず、山本さんのホームグラウンドである大映作品はほとんど観ていなかった。
で、いざ観てみると、これが良かった!
まず、山本富士子さん、その美貌と存在感だけで90分間、画面を持たせている。
山本さんの美貌といえば、「彼岸花」で小津安二郎が大輪の花のように扱っていて忘れられないが、ホームグランド大映の通俗の限りを尽くしたシチュエーションの中でもその存在感は変わりませんでした。
衣装、セットの豪華さ、カメラワーク(カメラがパンする中で時間経過を表現するなど)、照明などには、名にしおう大映撮影所の職人芸も堪能できました。
この時山本富士子は31歳。
彼女の20代のフィルモグラフを見ると、いわゆる番線作品への出演が多く、名画座での上映機会がある出演作品が少ないのが残念です。
なお、この日、神保町シアターのロビーには、入場を待つ太田和彦さんの姿がありました。
太田さんは吉田類と並ぶ、マスコミ系居酒屋文化人。
おじさんもかつての出張の折、太田さんが本に載せていた居酒屋に行ってはずれがなかった思い出があります。
農文協のブックセンターで2冊
神保町には、農文協の直営書店もあります。
さすが東京です。
農文協は農家の側に立った編集方針が徹底している月間「現代農業」の発行など、農協とは一線を画しながら得難い情報を現場に提供し続ける出版社。
おじさんも田舎暮らしを始めるにあたってここで、いろんな本を揃えました。
えひめAIという酵素の本とか、軽トラ、チェーンソウの使用マニュアルとか。
今日はここで、野菜の皮と種の利用に関する本と、発酵飲料に関する本を買いました。
来年以降の山小屋暮らしの参考にします。
神保町点描
いつも人が並ぶキッチン南海。カレーと揚げ物の店。
新刊本は東京堂書店。自費出版系や、少数部数の雑誌にも強い。映画関係に強い古書店・矢口書店のショーウインドウ。
古書店の店頭風景
神保町交差点。