諏訪という地方があります。
おじさんの山小屋からは峠を終えて1時間ほどの距離。
ご存知、諏訪湖を抱える盆地で、かつては甲州街道と中山道が合流する宿場として栄えたところです。
信濃国一之宮である諏訪大社を擁する歴史の里でもあります。
諏訪大社下社秋宮へ
ご存知の通り諏訪大社には4つのお宮があります。
より東京に近い諏訪市にあるのが、前宮と本宮。
東京から遠い、下諏訪町に位置する下社には春宮と秋宮。
このうち観光客でにぎわっているのが本宮と下社秋宮。
規模も大きい立派な神社です。
ひっそりして落ち着いているのが前宮と下社春宮。
特に前宮は、まったく観光名所化されておらず、原初の信仰の様子さえ感じられるような場所です。
ここ下社春宮は、秋宮と同じ造りに見えますが人出も少なくゆっくりできます。
立派な造りの神楽殿があります。
その奥に拝殿があります。
ここは本殿ではないそうです。
春宮を抜け歩いてゆくと万治の石仏があります
橋を渡ってゆきます。
春宮にお参りしたらここにもよらなければなりません。
万治の石仏は岡本太郎が絶賛してから有名になったとのこと。
造形と言い顔の表情と言い独特のものがあります。
長野県内の田舎にある、「巨石の上の小さな石」と造形が同じです。
信州地方の民間信仰上のコンセプトが共通しているのでしょうか?
おんばしら館よいさへ寄ってみる
石仏を見終わって川に沿って歩を進めます。
地元の健児たちはこんな急流で泳ぐのでしょうか?
近くにある、「おんばしら館よいさ」という資料館によりました。
地元のご高齢の方が案内してくれました。
立て板に水の案内コメントの端端からこぼれる、深く静かでありながら強烈な地元愛。
御柱が運ばれるルートから、平地に降りてからの地元住民のお祭り、当時の諏訪藩・高島城主がお祭りの道具を提供したエピソードまで、山小屋おじさんの頭から零れ落ちるほどの情報を連打してくれました。
御柱祭について聞き書き
諏訪大社4宮に7年に一度、新しい御柱をしつらえる行事が御柱祭。
標高1500メートルの霧ケ峰高原の国有林からもみの木を伐りだし、途中の木落坂ではニュース画面で有名な、御柱に人がまたがって35度の急坂を落とす場面を展開。
沿道の里の人に接待を受けながら数百人の地元の若者が綱を引き、諏訪大社4宮に御柱を引き立てるまで祭りは続くのだそうです。
戦前は、女性が御柱にはもちろん、引き縄などにも一切触れられなかったといいます。
おとなしいイメージの長野県民ですが、諏訪っ子はこの御柱祭に燃えに燃えるとのこと。
下諏訪町の下社春宮と秋宮の間は、旧甲州街道と中山道の合流地点があります。
山間部の宿場と違い、温泉が湧く平地の宿場が持つ艶っぽさが残っているような気がします。
興味の尽きないエリアです。