信州名物の一つがおやきである。
米が取れなかった信州で主食の代わりとなったのが、ソバ、麦などを原料とする粉食。
信州そばが有名で、ブランドとして全国化しているが、地元で今も愛されるのがおやき。
野沢菜漬などの具材を甘辛く味付けし、皮で包んで焼いたもの。
本来は囲炉裏などの灰で焼いたものだった。
信州名物数々あれど・・・
おじさんのような山小屋一人暮らしの人間にご当地の名物は案外縁が遠い。
信州名物といえば、ソバ、おやきのほかに、馬肉、イナゴ、蜂の子、鯉、ザザムシなど数々あるが、おじさんはほとんど食べたことがない。
買ったことならある。
直売所の地元産コーナーで、鯉の甘露煮のパックを買った。だけど食べてはいない。
一人で食べる発想が出てこない。
これが、地元の家に招かれたとしたら喜んで食べるだろう。むしろ地元の名物を所望するくらいだろう。
なぜならその「場」がこれ以上ない「地元」のシチュエーションだから。
あるいは都会から家族、知人らが来たとして、「ノリ」でなら食べることがあるだろう。
さらに地元の居酒屋で飲むとしたら蜂の子か、ザザムシかをつまんでいたかもしれない。
事実10年近く前の会社出張時に長野駅前の居酒屋で肴としたのは馬刺しだった。うまかった。
でも一人の山小屋では、地元の名物とはいえ、食べつけないものを献立にする発想が出てこないのだ。
山小屋で一人晩酌をしながら、鯉の甘露煮やイナゴの佃煮をつまむことが今でも想像できない。
やまざきやのおやきと団子
上田に地元の客が通う和菓子屋がある。
やまざきやという。
団子、もち、どら焼き、かきもちに洋風のレーズンサンドまである。
ここの一押しがおやきだ。
地元の人が買ってゆくのを見ると、おやきを10個近くも買ってゆく。
もう一か所、地元御用達の今川焼屋である富士アイスにおける地元客の買い方も似ている。
そこでは今川焼を箱単位で買ってゆくのだ。
今回おじさんがやまざき屋やで買ったのは、クルミ、ゴマ、みたらしの団子各1個と、野沢菜、切り干しのおやき各1個、そしてどら焼き2個だった。
おやきはここ、やまざきやで食べて初めてうまいと思った。それまで、直売所や土産コーナーで、冷凍のおやきなどを見かけることがあり、名物としてのプッシュ感を感じることっはあっても買って食べようとは思わなかった。
おやきは具もさることながら手作り感満載の皮がうまい。
団子はクルミなどのタレがうまい。
わざわざ作る以上は興味とやる気を持って作っているのがわかる味がする。
地元の人が通う店に間違いはない。