3月のころ、かねてから行きたかったニュービーナスという食堂へ行ってきました。
人口比の飲み屋の数が全国トップクラス、という上田の飲み屋街のはずれの2階にあるこの店。
階段の上り口には「営業中」の幟のほか、ローカルテレビで紹介された際の写真などが飾られ、にぎやかな空気を醸し出しています。
イメージは、がっつり大盛系でマスターの人柄が売り物、というものでした。
階段を上がって扉を開けると、思いのほか喫茶店風の店内です。
マスターの人柄なのか、常連客の和やかさなのか、アットホームなムード、ではありますが、
もう一歩〈進む〉と、地元の人限定の田舎のスナック風、になりかねなくない第一印象です。
マスター夫妻がタイムリーに反応し、快く迎えてくれるので安心して入店。
注文は入り口の黒板に書いてあったハンバーグ定食にしました。
注文を待つ間、山小舎おじさんが新聞を探していると、常連客が「ここにあるよ」と、自分が読み終わった信濃毎日を差し出してくれました。
常連客もスマートに見かけぬ客に対応してくれました。
上田は信州では〈都会〉。
見かけぬ者に対するこういった振る舞いは本当の田舎ではなかなか見られ無い、都会風の〈社会化〉された行動なのです。
ハンバーグ定食が出てきました。
運んでくれたマスターに「写真に撮っていいか?」と聞くと「どうぞ、自分の家のようにふるまってください」と言ってくれます。
「ごはんとみそ汁、漬物はお替り自由ですから」とも。
マスターのふるまいも十分〈社会化〉されています。
都会からUターンした人だったり、それこそかつてのユースホステルのような仕事をしてきた人だったり、の感じがします。
お替りせずとも満腹の山小舎おじさん。
食後を見計らって、マスターにはバナナジュースまで運んでいただきました。
店には来客用のノートがおいてありました。
ノートには食べ盛りの大学生や、評判を聞きつけてやってきた人たちの書き込みが残っていました。
世の中は緊急事態下だったか・・・、蔓延防止下だったか・・・。
昼間とは言え閑散とした心細い飲み屋街。
「営業中」のニュービーナスの幟には勇気づけられました。
その社会化されたホスピタリテイには感謝です。