長野県は稲刈りの真っ盛り。
昔ながらの、はぜ掛けの風景が見られる。
刈った稲を束ねて、天日乾燥のため、物干しざおに掛ける作業。
コンバイン普及後は、もみだけを刈り取って、機械乾燥するのが主流となっていた。
いまも大規模米作はその方法だ。
ところが長野県に来て、昔ながらのはぜ掛けによる乾燥が行われているのを見た。
自家用分だけをそうするのかと思ったら、結構大規模に行われている。
はぜ掛け乾燥を売り物にした米も売られていることも知った。
はぜ掛けって、結構大変で、稲の根っこを刈り、稲わらで束ね、よっこらしょとはぜに掛けなければならない。人出がいるし、刈ったばかりの稲束は結構重い。
稲刈りから後の作業に人出が掛けられる状況でないと、そもそもできない。根っこの刈り取りまでは機械でできるが。
定年おじさんは、かつて自宅の近くで田んぼづくりのグループに参加し、手植え、手刈り、はぜ掛けで稲作をしたことがある。
だから、はぜ掛けの大変さは、よくわかる。
できた新米にプレミアがつく現状なら、作業のし甲斐もあるだろう。
地元の人には、「今の乾燥機は性能がいいから、はぜ掛け乾燥と食味に大差がない」と話す人もいるが。
いずれにせよ、頑固というか、奇をてらわず、結果、古いものが残っている長野県らしい風景のひとつである。
はぜ掛けの風景は、上田盆地一帯のほか、諏訪湖周辺の田んぼでも見られる。ほかの地方のことは知らない。