山小屋のベランダで保存していた機織り機を解体しました。
この機織り機、山小舎の先代住人(甲州街道金沢宿にあった古民家を現地に移築した方)が茅野の家からもらい受けて保管していたもの。
その家では当時健在だったおばあさんが機織りに使っていたというもの。
山小舎おじさんが来た頃はベランダに放置されていて、その後7年に渡りそのままでした。
山小舎おばさんのリクエストにより、保管していたのです。
山小舎おばさんとしても、機織りの技習得への意欲は当時あったようでした。
今般、山小舎おばさんのお許しが出て解体撤去のこととなりました。
これまでもベランダの範囲の中で、一番奥だったり、手前だったりに機織り機を移動させたことがありました。何せ重いし、ガラも大きいので解体に際しては、家族来訪時に手伝ってもらおうかなと思っていました。
10月の晴れた日、自力でやってみるか、と機織り機を覆っているシートを外しました。
チェーンソーでも使って切り外して解体しようか、と思ってのことです。
改めてみると、機織り機というものの構造。
外枠のしっかりした枠組みのほかは、ほとんど空間の作りです。
経糸を張る仕組みがあるくらい。
つまり、外枠さえ解体すればよさそうなのです。
そして全体の枠組みは、釘などで打たれているのではなく、組み合わせにより行われているのです。
その組み合わせを、トンカチなどで叩いてほどけば解体できるのです。
トンカチとバリ、ペンチを持ってきて解体を始めます。
照明に使われている蛍光灯を外します。
経糸の保持と操作にかかわる細かなパーツ類を外します。
日本古来の工法によって組み立てられている機織り機は、後付けの部品を除き、釘やねじは使われていません。非常に効率よく解体が進みます。
機織りの命である経糸はセッテイングされたままでした。
これを撤去します。
経糸を取り外された機織り機は、その使命が完了しました。
外枠は頑丈な木材が使われています。
ホームセンターはおろか、材木店に注文しても現在では入手できるかどうか、と思われる硬く丈夫な材質です。これもトンカチ一つで解体できました。
組み合わせのホゾやなにかもきっちりと正確に細工されているからです。
昔の職人さんの仕事の正確さが偲ばれます。
次々と廃材が集まってゆきます。
パーツ類、角材、垂木などに分類します。
角材、太めの垂木は貴重な材質なので保存することにします。
組み合わさったままの部分は、もったいないのですが薪台に使おうと思います。
機織り機よ、長いことご苦労様でした。
同類の友は各地の郷土博物館でたくさん余生を送っていることでしょう。
中には現役で働いているものもあるでしょう。