10月中頃、子供たちと飲みたくて自宅に戻った。
5日ほどいて山小舎に戻ってきた。
帰りの足は中央線の普通列車を使ってみた。
高尾初の普通列車大月行きに乗る
中央線下りの普通列車は高尾発がほとんど。
自宅で自分の分の洗濯、掃除、布団干しを終え、京王線で高尾を目指す、行き当たりばったりの旅。
高尾に着くと、甲府行きが出たばかりで、次の大月行きまでは30分ほど時間があった。
窓口に聞くと茅野まで切符を買うと途中下車ができないとのこと。
大月までの切符を買ってあとは成り行き任せとする。
駅の売店でおにぎりを買い、列車待ちの間に腹ごしらえ。
列車が高尾を出る。
いきなり車窓に緑一杯の山間が迫る。
平野部から山間部にいきなりチェンジする車窓風景。
どこかで見たような。
東北の奥羽山脈に分け入る北上線や仙山線と同じだ。
中央線も、日本特有の山岳路線の一つだった。
やがて小仏峠をトンネルで抜けて、列車は早や次の駅・相模湖駅へ。
大月の町歩き
相模湖と次の大峠・笹子峠との間の中心都市が大月。
甲州街道の宿場でもあった。
この列車の終点。
次の列車は、と見ると1時間後の松本行き。
ちょうどよい、大月の町歩きだ。
まずは駅前から、甲州街道こと国道20号線沿いの商店街を歩く。
山梨・長野方面の下道を行くときにはよく通る道だ。
国道から1本はずれた住宅地を歩いてみる。
大月は谷あいの町。谷に向かって坂になっている。
坂の横丁もなんとなく風情がある。
乗車前、駅前のこぎれいな菓子屋による。
信玄餅の本舗が出している店だろうか。
試しに買ってみたシャインマスカット大福。
思ったよりずっとおいしかった。
大月からは乗り換えなしで茅野まで
大月からは松本行きに乗る。
笹子峠をトンネルで抜けると甲府盆地。
眼下に広がる葡萄畑。
町々が続いている。
目をやると富士山の頂が盆地の西側の山並みの上に顔を出している。
甲府を過ぎると、再び線路は登ってゆき、八ヶ岳山麓の高原に入ってゆく。
リゾート地、小淵沢を過ぎると、信濃境という駅で長野県に入る。
富士見、青柳といった駅に止まってゆく。
茅野着は16時過ぎ。
ホームには大勢の高校生が乗車を待っていた。
入れ替わるように下車する。
自宅から山小舎に向かう交通手段は、自家用車、軽トラ、高速バス、特急あずさを利用してきたが、各駅停車の旅もよかった。
時間は調布から4時間ほど。
乗り継ぎ時間を含めると5時間か。
高速バスの倍だ。
列車のいいところは、座席からの目線が低いところ。
高速道路からは山の上半分しか見えないが、列車の車窓からは沿線風景が人本来の目の高さで見える。
町の雰囲気を感じることができる。
地域性の変化を感じることができる。
具体的に言うと。
高尾から相模湖に入ると、そこは東京にはありえない湖が広がる別世界が展開し。
甲府盆地では、武田信玄を神格化する濃厚な歴史の空気が、お出迎え。
そして八ヶ岳山ろくでは、冷涼な高原の開拓地に吹き渡る開放的だが寂しげな風に吹かれ、すっかり遠方に来たなあと思う、のだ。
駅駅で地元の人が乗り降りしてゆく風景に接することができるのもいい。
今どき、通学時間の中高生くらいしか乗り降りしないが、それでも沿線で風景のみならず、人間に接することができるのは、いい。
車両の造りは通勤車両と同じ、ベンチシート方式。
ボックスシートに埋没して味わう旅の風情には乏しいが、今どきしょうがない。それでも空いていることが多い普通列車は、バスより居住性はいい。
今度は路線バスで帰ってみようか。
でも、「ローカル路線バスの旅」では、笹子峠越えのバスがなくてタクシーを使っていたなア。
路線バスと列車の組み合わせでもいいか。
でも暖かい時期じゃないとだめだな。