坂城町の直売所付属の食堂で、おしぼりうどんを食べました。
坂城町は千曲川沿いの、上田市の北西、千曲市の南に位置する町です。
北国街道という、軽井沢宿の西の追分から、新潟に至る街道によって発展したのが、町の始まりのようです。
現在は、軽井沢から長野市を、千曲川の右岸で結ぶ、国道18号線の沿線に位置します。
町内の国道18号線沿いに、直売所あいさいがあります。
この直売所には今の時期では、りんごを中心に季節の野菜果物が売られています。
直売コーナーの入って左手には食堂があり、名物メニューがおしぼりううどんです。
地元の名産の大根のしぼり汁で食べるうどんです。
名産の大根は、小ぶりの辛味大根で、鼠大根とも呼ばれます。
この名称が、大根の形状から由来するのか、この地区の鼠という名称からくるのかはわかりません。
北国街道には坂城宿とともに、間の宿(宿場と宿場の間にあり、休憩や宿場からあふれた人の宿泊に使った宿場)として鼠宿があり、現在でも地名として残っています。
ということで早速おしぼりうどんを注文します。
うどんの温かいゆで汁の匂いとともに供されたのが、温かい茶碗に盛られた手打ちうどん、鼠大根のしぼり汁、味噌と薬味、漬物が乘ったお盆。
寒い季節には暖かいうどんの匂いが食欲をそそります。
「味噌が足りなかったら言ってください」と食堂のおばさん。
どれどれと、味噌をひとかけ削ってしぼり汁に解き、うどんをたぐってすすってみます。
予想通りの辛さと、思った以上のさっぱり感。
「これはイケる」とさらに一すすり。
辛味があるとはいえ、うどんの香りを邪魔するほどの強烈さはないのが大根おろし。
むしろ辛味を味わうのに味噌のしょっぱさが邪魔してる?味噌を多く入れると、汁が味噌味になって、せっかくの大根おろしの風味が消える?と思ってしまう、しぼり汁の存在感です。
しぼり汁には一切のダシや調味料は入っていませんが、だからこその気持ちのいい辛味とさっぱり感。
味噌をほどほどに解き、漬物で口直しをしながら、うどんをすすりこみます。
うどんの温かさ、風味がストレートに味わえます。
「これはうまい」。
さりげなく手打ちのうどんや、蕎麦が出てくるのも信州の食堂の凄い所。
食べていて、しょうゆをかけての味変もいいなと思いましたが、とにかく素朴な味を瞬く間に味わうひと時でした。