おじさんの行動範囲である大門街道(国道152号線)沿いに、不動の滝への案内板がある。
町指定の景勝地であるらしい。
地元の人に聞くと「6メートルばかしの滝があるだけだ」とのことで興味は後退していた。
が最近別荘地の高齢者作業バイト仲間の一人が、「不動の滝への道沿いの側溝にはヤマベがうようよいる。地元の人は海の魚は食べるが、川の魚は食わないんだな」というのを聞き、がぜん行ってみたくなった。
大門街道から不動の滝への道
大門街道沿いの案内看板。
見ると集落の中を細い生活道路が続いてゆく。
車の出入りもほとんどなく、観光地の持つ輝きなど全く感じられない。
普通、わざわざ行ってみようとは思わない。
果たして車は交差できる道なのか?
入って行って地元の人に怪しまれないのか?
おじさんの長野ナンバーの軽トラで入ってゆくと、やがて集落は早々に消え、田んぼや畑が広がる。
なるほど側溝があるが、田植えの季節のせいか、水がごうごうと流れており、魚影が見えるどころではない。
林道を登ってゆくと獣除けのゲートがある。
ここまでですれ違ったのは農作業の軽トラ1台のみ。
不動の滝は厳粛な空間だった
ゲートをくぐると畑はなくなり、ひたすら林道が続く。
やがて不動の滝一口の看板が見える。
林道から滝の入口へ入ってゆく。
町の案内板が立つ車だまりとなっている。
そこから見える堰堤も大規模で、流れ落ちる水には滝の趣があるが、不動の滝はここからさらに600メートル先とのこと。
ダートの坂道を車で少し上ると車両通行止めの看板。
ここから450メートルを歩かなければならない。
坂道を登ってゆく。
階段は必要ないがそれなりに急な角度の坂道。
周りは全く人影などなく山の真っただ中にいるのだが、道の周りだけは辛うじて人の気配が残る。
それなりに人出はあるのだろう。
やがて左手に巨石の壁がそそり立つ景観となり、行く手に不動の滝が現れる。
大きな滝ではないが、巨石の壁の間から水が流れ落ちるシチュエーション。
滝の流れの背後の苔むした青が俗世間との距離を感じさせる。
遠く左手に見える祠はかつて修行者が篭った名残とのこと。
独特の静謐を感じる空間。
まったくの自然が持つ怖さや排他性ではなく、人間が支配する空間ながら神聖な感じ。
これだから信州は行ってみなければわからない。
不動の滝は立派なパワースポットではないか。