佐久市望月地区は中山道望月宿があったところ。
現在でも、地区の旧中山道沿いには宿場の名残の古民家などが残る。
映画「犬神家の一族」に登場する那須ホテルのロケが行われた旅館はここ望月にある。
中世より馬の産地として、牧が置かれ、御牧の地名も残る。
大戦末期にはなんと陸軍士官学校がこの地に移転したこともあった。
その望月の中心部を離れた川沿いに弁天窟がある。
11月のある晴れた日、車を止めて付近を歩いてみた。
川に突き出した岩壁に掘られた岩窟。
説明書きによると、室町時代に琵琶湖の竹生島の弁財天を勧進したものという。
中世の信州のこの地に、近畿地方の弁財天を勧進せしめる何があったのか。
まだ中山道が整備されるはるか前。
東山道という当時の東国街道の流通によるものか、あるいは馬の生育により中央に貢献したことに由来するものなのか。
残念ながら弁財窟には通路が閉鎖されたどり着けなかった。
山を回って反対側に下りればたどりつけるのかもしれなかったが。
弁財窟の上方には山道が続いており、たどってゆくと豊川稲荷と書かれた鳥居が現れた。
奥には立派な神楽殿もある。
この山一帯が地域の神域なのだろう。
足元を見ると丸々としたどんぐりの実がたくさん落ちていた。
孫がどんぐりの実を欲しがっていたが、山小舎周辺では、鹿などに食べられたのか、はやどんぐりの実は姿を消していたのだった。
軽トラに取って返し、ビニール袋を持ってきてどんぐり拾いをした。
珍しい岩窟が見られ、どんぐり拾いまでできてうれしい秋の日だった。