杖突街道→伊那→塩尻

10月に入った秋晴れの日。
軽トラで旅に出発した。

鄙びた別世界のような杖突街道を走って、高遠では行きそびれていた郷土資料館へ入り、伊那でソースカツ丼を食い、国道153号線を北上しつつ箕輪町の直売所で仕入れ、さらに北上して行ったことのない塩尻市内を見物しよう、という予定だった。

杖突街道での発見

伊那地方と諏訪地方を結ぶ杖突街道こと国道152号線。
杖突峠を越えて古都・高遠までの沿道風景は、時間から取り残されたような鄙びた集落が続く、山小舎おじさんお気に入りのルートだ。

高遠歴史博物館で買った杖突街道のマップ。情報がてんこ盛り

木造の古い建物が目をかすめた。
木造校舎か?と立寄ってみた。
正体不明の建物だった。

とりあえず写真撮影して、近くに神社があったので表敬訪問。
貴船神社とあるその神社。
案内板を見ると京都の本家・貴船神社から正式に勧請された、とのこと。
縁結びで有名な貴船神社。
調べてみると全国に450社の分社があるという。

杖突街道からこの木造建物が目についた
正面から見た木造建物
京都から勧請した貴船神社
貴船神社の本殿
このあたりの集落は新しい蔵が目立つ

さて不思議な木造建物の件。
この先で寄った、沿道唯一の直売所の駐車場で荷造りしていた地元?の男性によると、地元(藤沢地区)の公民館だったとのこと。

沿道唯一の直売所は閉まっていた

高遠を経て伊那で昼食

高遠では歴史博物館へ寄ってみる。
ここの展示の目玉の一つが、絵島囲屋敷。
絵島という江戸時代の女性が、大奥で女中頭の身でありながら、歌舞伎見物で帰城の門限を破り、当地に島流しにあって、27年間幽閉の身を過ごした屋敷が博物館に隣接しているのです。

高遠歴史博物館で購入した朱印

13時を回ったので慌てて伊那を目指す。
目指すソースカツ丼屋は、長野県の食堂の例にもれず、昼食は14時までの営業時間。
遅れるわけにはいきません。

目指す、たけだという食堂に着いたのが13時36分。
既に看板は「準備中」に裏返っています。
店員に掛け合ってみましたが、「ごめんねラストオーダーは13時30分なの」というばかり。
残念ながら諦めました。

さてどこで何を食べようか?何度か行ったことがある田村食堂へだめもとで行ってみますと、こちらは「ラストオーダーが13時45分」の看板が。
同時刻に滑り込み、快く受け入れてもらいました。

たけだを目指したがかなわず、田村食堂へ

国道153号線沿いに出現する信濃国二ノ宮・小野矢彦神社

伊那から北上して箕輪町の直売所で季節の紅玉リンゴなどを仕入れ、さらに国道153号線を北上する。

伊那地方と塩尻・松本方面を結ぶ国道153号線は交通量も多く、車両の運行速度も速い。

長野県の交通事情は、運転マナーもよく、奥ゆかしいイメージがあるが、どうして、平地を走る主要国道・バイパスの車は飛ばす。
のろのろ走っているとあっという間に後ろがつながってしまう。

国道20号線の塩尻峠、佐久平を北上する国道141号線などは、通行車両が「必死になって先を争って走る」印象がある。

ということで、後ろを気にしながら走っていると、ただならぬ雰囲気の神社が左手に出現して慌ててストップする。
辰野町小野地区と塩尻市にまたがる、小野矢彦神社だった。

国道153号線沿いに出現する小野矢彦神社。巨木がそびえる
手水場はコロナ下(禍)でも閉鎖されていない。心意気やヨシ!

境内に外にまでにじみ出る荘厳な雰囲気。
境内には巨木が立ち並ぶ。
取り急ぎ拝殿に参拝。

参拝したのは小野神社のほうで、矢彦神社は隣にあったらしい。
信濃国二ノ宮とのことがだが、二ノ宮は上田の生島足島神社もそうだったよなあ、と思う山小舎おじさんでした。

小野神社の拝殿。派手にデイスプレイされている
小野神社の神楽殿は拝殿の正面に建つ

塩尻でびっくり!

塩尻は松本と隣接し、つながってしまっている印象だが、実際訪れてみると個性豊かな町だった。

国道から市街地方面へ折れると目の隅に看過できない建物が飛び込んできた。
よく見ると映画のポスターが貼られた建物だ。
東座と銘が打たれた大き目の建物。
よく見るとピンク映画のポスターも貼られている。

待てよ、これは絶滅危惧種の昔ながらの映画館の生き残りではないのか?
慌てて軽トラを止める。

塩尻東座の建物が現れた

「新東宝映画」「大蔵映画」の文字がうれしいというか時代錯誤というか。
都内でも、ここ2.3年で飯田橋駅前にあった専門館が撤退し、上野と池袋にのみ現存するピンク映画の上映館が、一般映画上映館と併存とはいえ塩尻に残っていたとは!
後日ゆっくる訪問することにして写真撮影を済ます。

上映作品のポスター
一般映画上映の1号館入場口

行き当たりばったりの塩尻初訪問。
町の情報を得ようと塩尻駅でパンフ類を収集する。

隣の観光案内所に行って再度びっくり!
コンテナにマスカットを山盛りにして、「3房で100円」の張り紙。
どうしたものかと眺めていると、職員が「駅構内で栽培しているんですよ、黄色めのものが熟してます。種は出さずに食べると甘いです」とのご案内。
思わず100円玉を出し、買う旨を伝えると、袋に詰めてくれ、おまけにもうひと房をくれました。
昔ながらのマスカットは香り豊かで、甘さ充分でした。

JR塩尻駅
観光センター入口
駅構内特産のマスカット特売現場!
駅構内には黒葡萄が実っていた

折角なので、イヅツワインの醸造所まで行ってみます。
塩尻はワイン醸造の名所でもあります。

イヅツワインの売店でワインとジュースを購入しました。
醸造所限定品などはなく、むしろ出荷優先で販売しているとのことでした。

国道19号線沿いの、桔梗が原と呼ばれる当たり、イヅツのほかに五一ワイン、アルプスワインなどの醸造所が集まっているエリアです。

塩尻市桔梗が原のイヅツワイン工場売店

杖突街道から派生する金沢街道などの旧街道筋はぜひ行ってみたいともいました。
また、塩尻の東座は近々訪問したいと思いました。
うれしい宿題二つをもらった今回の旅でした。

投稿者: 定年おじさん

1956年北海道生まれ。2017年に会社を退職。縁あって、長野の山小屋で単身暮らしを開始。畑作り、薪割り、保存食づくり、山小屋のメンテナンスが日課。田舎暮らしの中で、60歳代の生きがい、生計、家族関係などの問題について考える。60歳代になって人生に新しい地平は広がるのか?ご同輩世代、若い世代の参加(ご意見、ご考察のコメント)を待つ。

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