アリオといえばセブンイレブン系のショッピングモール。
長野県第三の都市、上田にはもともと西武系のイオンタウンがあったが、後発のアリオが上田駅近くにモールを出店したもの。
ご存知の通り地方都市では(昨今は首都圏でも、都内でも)既存の商店街は閑古鳥が鳴いている状況。
とはいえ、住民の日々の買い物、休日のショッピングの需要はあるわけで、国道沿いの郊外型店舗群がその受け皿となっていたが、近々のマーケテイングというか、商圏として出現したのが、モールという存在。
大規模なものとしてはららぽーと、一般的には○○タウンなどと呼ばれる複合型商業施設が全国的に存在する。
上田では、駅前から続く真田坂、それと直行する海野町商店街などが元来の商店街なのだが、人通りはほとんどない。
店舗を占めた商店も目に付く。
では上田の消費者はどこにいるのかというと、イオンタウンだったりアリオ。
特にアリオは真新しい店内と、全国チェーン店の出店で、休日は地元のファミリーやヤングが繰り出している、という印象だった。
「印象だった」というのは、山小舎おじさん、このアリオに過去1回行ったときに、店内をそぞろ歩く人たちを見て「上田の人は(商店街にではなく)ここにいたのか!」と安心した記憶があったからだ。
地方では、人気のない商店街や住宅地をみて「ひとがいないんだなあ」と感じるが、いざ何かの行事が開催されると、スタッフや参加者に人があふれ「人がいるじゃないか!」と思うことがある。
例えば、茅野市街地では歩く人の姿を見るのも稀な印象だが、蓼科高原映画祭開催の時は、市民ホールと新星劇場に和解世代も含めた住民スタッフが溢れ、「茅野にもこんなに人がいたんだ!」と安心する。
今年のコロナ騒動では、春先の休日に諏訪湖畔に散歩する人の姿が溢れ、普段感じられない地域住民の人数の多さを実感し、頼もしく思ったものだ。
何が言いたいのかというと、地方都市にはまだまだ人がいるということだ。
閑話休題。
前置きが長くなりました。
この日の上田アリオ。
平日の午前中に訪れると、1階のイトーヨーカドーのスーパーマーケットエリアは人が集まっているものの、ショッピングエリア、レストランエリアは閑散としておりました。
もともと地方では、人口の絶対数が少ないうえに、日中、若い人は学校に、壮年は職場に、主婦はパート先に・・・と居る場所が決まっています。
食堂も全国チェーン店以外は、14時から休業時間に入ります。
東京のように勤務時間が様々だったり、何をしているのかわからない人が大量にいたりすることがないので、結果として人の行動は規律的になります。
昼食にしても12時から13時の間にほぼ全員が摂るわけで、食堂はその時間以外に空けておいても客が来ないのです。
たとえ話が長くなりましたが、ついでに続けます。
平日日中のショッピングセンターの閑散ぶりは、東京でも見られます。
街中のスーパーに見られる閑散とした店内と、休憩コーナーで時間をつぶす高齢者の姿です。
この日の上田アリオの雰囲気もそれに近いものでした。
地方に特有の「のどか、のんびり、まったり」した雰囲気ばかりではない「閑散」とした雰囲気。
これが原因は、地方云々というばかりではなく、大きくいえば日本全体の景気停滞、社会の疲弊に端を発するのかもしれませんが。
とはいえ、新築でこぎれいな、上田アリオ。
で歩いていて気持ちのいい場所です。
上田では貴重な新刊書店もあります。
レストラン街のほかにフードコートもあり、昼食には便利です。
何より全国チェーンの衣料、雑貨店がもたらす都市カルチャーとの直結感が貴重です。
用事を済ませ、カフェで一息つきながら、午後を迎えたに山小舎おじさん。
その時間には下校時の高校生など、午前中より客層が若返り、人数も増えてきました。
「やはり上田で一番賑やかな場所だ」と感じることができました。
実は、アリオ訪問記を「パワースポット探訪記」の一環としてまとめる予定でしたが、訪問後、その気持ちがなくなりました。
ひとが集まる場所としては上田で一番なのでしょうが、その割にパワーを頂けなかったという気持ちでした。
それが原因は、自然発生的で歴史ある場所ということではない、現代の商店街・モールの持つ性格なのでしょうか。
地域との共存共栄というよりは、採算が悪くなればいつでも撤退してゆく、という、そのコンセプト。
それを承知で刹那に訪れる人々の移ろい感。
安易に「パワー」を求めてさまようことへの自戒も含めて勉強になりました。