上田市の住宅地の一角に昔ながらの麹屋があります。
福無量という造り酒屋で、特別純米美山錦を求めた際、「麹はないか?」と聞いたところ、「うちでは仕込み分の麹しか作らないが、市内に麹専門店がある」とのことで、行ってみました。
表通りから折れた住宅地を通る細い道路沿いにその店はありました。

古い造りの商家というのでしょうか。
表にガラス戸もなければ、ショーウインドもありません。
門構えを抜けると、土間に大きなかまどがあり、羽釜がかけられています。
中庭の奥には母屋が見えます。
声をかけるとまだ若い主人らしき人が出てきました。

扱っているのは麹と甘酒と味噌とのこと。
麹と味噌の製造所が、小売販売もやっているという風情です。
とりあえず麹1キロと甘酒を注文しました。
手に入った麹はスーパーなどで売っているものとは一味違う感じ。
「保存はビニールではなく紙袋で」とのこと。
甘酒は二倍に薄めて飲むとよし、と。
腰が低い主ですが、麹についてはこだわりを持っていることがうかがえます。

土間を眺めていると、敷居の上にのこぎりのようなものがしつらえてあるのが目に入りました。
聞くと「燕に巣を作らせないため」とのこと。
歴史を感じます。
東京へ帰って、麹と甘酒を、流行りの発酵食品に関心を持つ娘一家にプレゼント。
娘からは「麹には、きれいな麹菌がびっしりついていた」と反応があり、さっそく塩麴、しょうゆ麹、だし麹に加工したとのラインがありました。


山小舎でも、残りの麹で塩麴を作ってみようと思います。