「現代農業」という月刊雑誌がある。
発行元は一般社団法人・農村漁村文化協会。
行政や農協をバックにしておらずに、農家に役立つ情報を発信している。
イデオロギー臭もなく、かといってエコロジー偏重でもない。
農薬、農業機械の正しい使い方の発信も、この雑誌の主題の一つになっている。
といっても、時代の流れに敏感で、また時代をリードする感性を持ち合わせているのがこの雑誌の鋭いところ。
これまでも、えひめAI液、もみ殻の利用、鉄茶の利用、など、山小舎おじさんも、この雑誌からは感化を受けている。
令和3年3月号の特集は「縦穴堀りが流行中」。
山小舎おじさんが借りている段々畑4枚は、水はけが悪い。
畑脇の水路の整備などは行っているが、雨が降ると表面に水がたまるし、全体にじくじくしてくる。
縦穴を掘ると田畑の水はけが格段に良くなるらしい。
「現代農業」3月号には、縦穴掘りについての農家の体験談、理論的解明、使用道具の解説の記事が載っている。
新潟大学の農業土木研究者によると、縦穴を掘ることにより、空気と水の流通と循環が起こるとのこと。
土中の空気は渦を巻いており、それが縦穴を通過することによって、大地全体の通気浸透性を高めるとのこと。
道具の調達など、関門は高いものの是非畑で試してみたいと思うや山小舎おじさんです。
「現代農業」3月号にはほかにも興味深い記事がありました。
まずは井戸掘りの記事。
国的には水道法の下で上水の供給を一本化したいところなのでしょうが、水道民営化など公共の福祉に逆行化しかねない立法が行われている現状があります。
また災害時などに自力で上水を確保できれば、それに越したことはありません。
まことにタイムリーな、自力井戸掘りの記事です。
更には、税法に物申した「どぶろく宣言」の記事といい、「現代農業」は庶民の立場に立った編集方針を貫いています。
農家が教える免疫力アップ術の記事。
農家が長年伝える様々な生活の知恵があります。
野草の活用もその一つ。
このような大マスコミが伝えない知恵の世界を伝えるのも「現代農業」の仕事の一つです。
山小舎おじさんも大いに興味があるものの、実行しきれないくらいの情報量がこの記事一つにあふれています。
山小舎おじさんにとって「現代農業」3月号の極めつけが、「まさねえの獣害対策よもやま話」という記事でした。
著者を講師とした獣害の勉強会があったそうです。
勉強会で著者曰く「イノシシが悪いと思っている間は被害は止まりません。(中略)被害っていうのは皆さんがここは安心してエサ(農作物)が食えると思わせたから。これを餌付けといいます。(中略)悪いのは餌付けをした自分‼って頭を切り替えること。」
のっけから頭にガーンときます。
女性らしい感性というか、物事の本質に直感的に到達する力というか。
今までの「常識」とは一線を画した「真実」が表に出始めたというか。
「常識」と「非常識」の境界がなくなってきたというか。
単に獣害に悩むだけだはなく、自然に対する心構えを諭されたような。
今後の展開が楽しみになってくる記事です。
他にも、足の付け根に紐を撒くことによって体の負担を軽減する方法など。
「ただで、誰でもできることが間違いのない方法」だと思う山小舎おじさん。
いろいろな知恵に助けられて山小屋生活を送りたいと思います。
私の実家は農家なので、実家でも「現代農業」を取っていました。
小さい頃は「家の光」でしたが、兄の代になった頃から「日本農業新聞」と「現代農業」に変わりました。
「家の光」は農協で配布していたのか、どこの農家にもありました。調べて見ると月刊誌で最大の発行部数を誇り、今でも100万部も発行しているようです。農家の生活の基本スタイル作る雑誌です。でも、農家以外では知っている人は少ないでしょう。日本一の雑誌なのに。
それに対して「現代農業」20万部ほどの発行で、いろいろな農業のあり方を示してくれる雑誌ですね。本当にこんな栽培方法で大丈夫なのかと思う記事もありますよね。ただ、私が目にしたのは今から40年以上も前のことです。今も変わっていないのだなあと懐かしく感じました。