長野県東信地方の西端を占める小県郡(ちいさがたぐん)。
かつては、丸子町、武石村、長門町、和田村、青木村などで構成されていたが、相次ぐ合併や上田市への吸収などにより構成面積が減少し、現在では我が町・長和町と青木村の2自治体でのみ構成されている。
上田市を中心とする東信地方の最西端に位置し、西側へ深い峠を越えると、諏訪・松本地方に至るロケーションである。
今回は、小県郡の青木村にある田沢温泉の共同湯に立ち寄ってきました。
なお、青木村にもう一つある温泉の、沓掛温泉は「ご近所立寄り湯めぐりVOL.3」でレポートしています。
まずは、上田から松本へ抜ける峠道の一つ、国道143号線沿いの道の駅あおきにて腹ごしらえ。
地元の農産品をはじめ、シーズンには松茸を求めて松本からも来客であふれる道の駅です。
道の駅から国道143号を松本方面に向かい、案内看板に沿って左に折れると田沢温泉があります。
葡萄畑などが広がる風景を抜け、道のどんずまりが田沢温泉です。
バス停の先の温泉街は、道幅が急に狭くなり、温泉街特有の雰囲気を早くも醸し出しています。
道幅は、軽トラとはいえ車両が通行できるのか?と心配になるくらいです。
温泉街に入ると右手に共同湯の有乳湯(うちゆ)があります。
駐車場もありました。
このご時世、果たして今まで通りに入浴ができるのか?
マスク必着とか、住所氏名電話番号を記入とか、県外者入浴禁止とか、はないのか?
部外者としては懸念がありました。
入場してみるとそれらは全くの杞憂でした。
番台のおじいさんに、いらっしゃい、とノーテンションで迎えられ、いい意味で拍子抜けしました。
平時と変わらぬたたずまいがうれしい共同湯でした。
入浴料200円。
かすかな硫黄臭がする透明な湯質。
ぬるめの湯につかります。
強烈さはない湯ではありますが、入った後のリフレッシュ感は、やはり源泉かけ流し、ならではのものでした。
共同湯に入浴客は三々五々いるものの、温泉街に客らしき姿はありません。
共同湯に保続する足湯に家族が浸かっているだけでした。
田沢温泉。
歴史ある風情と古い建物のたたずまいはまごうことなき温泉街そのものでした。山の中の一軒宿、という感じの温泉ではありませんでした。
田沢温泉がある青木村は、歴史の里・塩田平の端っこにあります。
塩田平は中世の時代に、東山道が通った地域で、国宝の三重塔があったり、歴史ある神社仏閣が残っています。
その時代の中央と東国を結ぶ動脈上にあったのです。
江戸時代の五街道などと違い、すっかり歴史の闇に埋もれてしまった東山道ですが、塩田平にはその名残がかすかながらも残っている印象です。
温泉は、山の中の一軒家でもない限り、一定の立地条件のもと存在しています。都市圏の奥座敷と呼ばれる全国の有名温泉街のようにです。
とするとこの古い温泉街は、東山道の時代の繁栄を今に残す、塩田平の奥座敷という位置づけだったのでしょうか。